タマネギ×美容、淡路島から発信 フードロス対策にも取り組む元観光大使の郷土愛

AI要約

斎藤千明さんは兵庫県・淡路島でタマネギを原料とした化粧品を作り、地域の振興とフードロス対策に取り組んでいる。

タマネギに含まれる成分「ケルセチン」の美容効果に着目し、起業して化粧品開発を始めた。

商品はオニオン水を使用した洗顔料や美容液で、規格外品のタマネギを活用している。

タマネギ×美容、淡路島から発信 フードロス対策にも取り組む元観光大使の郷土愛

兵庫県・淡路島で島特産のタマネギを原料とした化粧品を作り、地域の振興と、廃棄される規格外品のフードロス対策に取り組む女性がいる。実家がタマネギ農家で、過去に島の観光大使も務めた斎藤千明さん(26)。「淡路島の基幹産業である第1次産業を盛り上げたい」と意気込んでいる。

兵庫県南あわじ市で3代続くタマネギ農家に生まれた斎藤さんは大学卒業後、大阪市内で就職。「故郷を盛り上げたい」と令和4年春から1年間、淡路島の観光大使「クイーン淡路」を務めていたが、その年の夏に転機が訪れた。

64歳だった父が病気で他界。斎藤さんは一人娘だが、農業はまったくの素人で、家業を継ぐべきかどうか迷った。「家を守らなくては」との思いもあり、興味のある美容関連の情報を書籍や論文などで調べていたところ、タマネギに含まれる成分「ケルセチン」が美容に効果があることを知ったという。

ケルセチンには肌の老化の要因の一つである酸化を抑える効果があり、海外では化粧品に使われた事例もあった。島の特産品であるタマネギの抗酸化作用に着目した化粧品開発を思いついた。

大学の卒業論文のテーマが故郷・淡路島のマーケティングとブランディングだった斎藤さんは、起業を決意。勤務先を退職し、昨年4月、仏語で「菩提樹(ぼだいじゅ)」を意味する化粧品開発販売会社「ティヨル」を立ち上げた。

特殊な方法で、タマネギからケルセチンを多く含む「オニオン水」を抽出。「NIONE(ニオーネ)」のブランド名で、オニオン水を使った洗顔料や美容液など3種類を発売した。「レイヤークレンジング」は、メークだけでなく酸化した皮脂も取り除き、保湿もできる。美容液「ブリリアントセラム」は紫外線でダメージを受けた肌の修復に、美容クリーム「ブライトニングクリーム」は肌の張りやしわの改善にそれぞれ効果があるという。

原料は、ケルセチンを多く含有するタマネギの品種「ケル玉」。小さ過ぎたり、傷がついたりして市場に出回らない規格外品を使い、フードロスの解決にもつなげている。

東京や名古屋の百貨店、島内のホテルなどで取り扱うほか、地元の南あわじ市で、ふるさと納税返礼品として採用された。購入者からは「1日使うだけで効果が実感できた」と好評だという。

名刺の肩書に「タマネギ美容家®」と記す斎藤さんは「タマネギの美容効果は、まだまだ知られていない」とし、健康食品の開発も検討している。「『オニオンビューティ』の概念を淡路島から全国に広め、故郷の振興につなげたい」と力を込めた。(藤崎真生)