多くの人が知らない「遺産の分け方」…4つの方法の違い、分かりますか?【プロが解説】

AI要約

相続時には法定相続分を目安に遺産を分割することが一般的だが、全員が合意すれば異なる割合でも可。

遺産分割協議での分割割合が実際に遺産を分けるとは限らないため、不動産などの分割方法を考える必要がある。

遺産の分け方としては、現物分割、換価分割、代償分割などがあり、それぞれメリットとデメリットがある。

多くの人が知らない「遺産の分け方」…4つの方法の違い、分かりますか?【プロが解説】

もしも相続が起こったら、この場合はどうしたらいいのだろう?

実際のところ、相続のときに初めて気づく問題や疑問はいろいろあります。家族の状況や遺産の状態によって、思わぬトラブルになることも。最近の相続で、よく起こりがちな疑問や心配事に対し、『知って安心!不動産の相続 2024年版』を監修したランドマーク税理士法人の押山満税理士が対処法を指南する。

Q.相続人が配偶者と子1人の場合、遺産は半分ずつでしょうか

A. 民法で定められた法定相続分ではそうなりますが、あくまで目安。相続人全員が合意すれば、法定相続分とは異なる割合でも可

相続人が2人以上いる場合、被相続人の遺産をどのように分けるかを決めるに当たって目安になるのが「法定相続分」です。民法で定められたもので、相続税の計算をするときにも用いられます。法定相続分は誰が相続人であるかによって異なります。

相続人が配偶者と子の場合は2分の1ずつで、子どもは人数に応じて等分します。例えば子が2人いたら、1人当たりの法定相続分は4分の1(2分の1の半分)となります。相続人が配偶者と父母なら配偶者が3分の2、相続人が配偶者と兄弟姉妹なら配偶者が4分の3となります。(図表1)。

法定相続分はあくまでも目安なので、相続人全員が合意すれば、法定相続分とは異なる割合で遺産を分割してかまいません。例えば、夫が亡くなり妻と子が相続人の場合、子が合意すれば妻が全財産を相続することも可能です。

遺産分割協議で分割割合を決めても、そのとおりに分けられるとは限りません。現金や預金は分けやすいのに対して、不動産などは分けることが難しいからです。

よくあるのが、遺産の大部分が自宅の土地や建物で、そのほかに多少の預貯金しかないというケース。相続人が複数いるなら分け方を考えなければなりません。遺産の分け方にはおもに4つの方法が考えられます。

「現物分割」は遺産をそのままの形で分ける方法で、例えば相続人Aが自宅の土地建物、BとCが現預金という形。簡単でわかりやすいのですが、現預金が少ない場合はAの相続割合が多くなり、BとCが不満を持つかもしれません。

そこで考えられるのが「換価分割」です。自宅の土地建物を売却して現金化して分ける方法で、平等に分割することが可能です。ただ、売却するのに時間がかかったり、想定より低い価格でしか売れなかったりする可能性があります。また、その土地建物に住んでいる相続人がいた場合は、住み続けられなくなってしまいます。

もう一つの方法は、そこに住んでいる相続人Aがその土地建物を相続し、BとCには相続割合を考慮した一定の現金をAが支払う「代償分割」。これが使えるのはAがBとCに支払う現金・預貯金等を持っている場合に限られます(図表2)。