いったいどうすれば…借入金、クレカの残高など「負の財産」の相続方法【プロが解説】
相続時のマイナス財産の扱いについて
相続財産に含まれるさまざまな財産の把握の重要性
相続税計算時に考慮すべき事項について
もしも相続が起こったら、この場合はどうしたらいいのだろう?
実際のところ、相続のときに初めて気づく問題や疑問はいろいろあります。家族の状況や遺産の状態によって、思わぬトラブルになることも。最近の相続で、よく起こりがちな疑問や心配事に対し、『知って安心!不動産の相続 2024年版』を監修したランドマーク税理士法人の押山満税理士が対処法を指南する。
Q.借入金の残高などのマイナス財産はどうなりますか?
A. プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も引き継がれます
相続人は、被相続人が保有していた経済的価値のあるものすべてを相続します。
現金、預貯金のほか、株や債券、投資信託といった有価証券、金地金や地金型金貨(コイン)、土地・建物などの不動産、ゴルフ会員権やリゾート施設の会員権、宝石、書画・骨董、自動車など一定の価格で売買されるものはすべて相続財産となります。
遺産を分割するためにも、相続税がかかるかどうかを判断するためにも、遺産をすべて洗い出して、その金額を把握する必要があります。金融資産は、どの金融機関に口座があるかがわからないと、残高が調べられません。
特にネット銀行、ネット証券を利用している場合、それを家族が知らなければ、残高を把握するのは困難です。また、遺産分割や相続税の申告が終わってから財産が見つかると、手続きのやり直しになってしまいます。
ランドマーク税理士法人の押山満税理士は「どこの金融機関に口座があるかは、家族のためにエンディングノートなどに書いておくのが望ましい」と話します。
プラスの財産のほか、借入金の残高、クレジットカードの未決済分などマイナスの財産も、相続人が引き継がなければなりません。住宅ローンは多くの場合、契約のときに契約者が団体信用生命保険(団信)に加入し、亡くなったときは保険金で住宅ローンが完済されるので、「団信で返済された住宅ローンは、相続財産には含まれません」(前出・押山税理士)。
相続税を計算する際、生命保険のうち、被相続人が契約者・被保険者、相続人が受取人となるもので、相続人に支払われる死亡保険金、死亡給付金、死亡一時金などは、みなし相続財産として相続財産に加算されます。被相続人の勤務先から配偶者や子に支払われる死亡退職金もみなし相続財産となります。
被相続人が保有していた墓地、墓石、仏壇・仏具(過度に高額なものを除く)や、相続税の申告期限内に寄付した財産(条件あり)などは、非課税財産として相続財産から除かれます(図表1)。