茨城大付属小の重大いじめ 文科省統計調査に「調査済み」と虚偽回答

AI要約

茨城大教育学部付属小学校がいじめを放置し、文科省に虚偽の報告を行っていたことが判明した。

学校側はいじめ認定後も調査を行わず、保護者の第三者調査要望も拒否していた。

茨城大は報告の修正を行い、信頼を損なったことを認め、深刻な問題があったと述べた。

茨城大付属小の重大いじめ 文科省統計調査に「調査済み」と虚偽回答

 茨城大教育学部付属小学校(水戸市)が2021年に「重大事態」と認定したいじめについて法定の調査や文部科学省への報告を1年以上怠っていた問題で、茨城大が22年に文科省統計調査で「第三者により調査済み」と虚偽の回答をしていたことが、毎日新聞の取材で判明した。実際は未調査で、その後も被害児童側が求めた第三者による調査を学校側が拒否していた。

 保護者の弁護士らによると、いじめは21年4月ごろ発生。当時4年の女児が同級生から悪口を言われるなどして6月ごろから休みがちになり、付属小は11月、いじめが理由で不登校が長く続く重大事態と認定した。

 いじめ防止対策推進法は学校側が重大事態を把握した際、速やかに調査組織を設け、再発防止に向けて事実関係を明確にするよう義務付けているが、付属小は認定後も調査を1年以上行わなかった。23年1月に女児の保護者が第三者による調査を求めた際にも「第三者委による調査の必要はない」と拒否した。

 一方、茨城大は22年5月、文科省が全国の小中高校などを対象にいじめなどの実態を調べる「問題行動・不登校調査(問題行動調査)」で、21年度の重大事態の発生件数を1件と回答。内数を尋ねる質問でも「調査済み」を1件、「調査を行うための組織が第三者のみで構成されている」を1件としていた。関係者によると、21年度に付属小で発生した重大事態は女児のケースのみで、回答は全て女児に関するものを指すという。

 いじめ防止法に基づく手続きが取られているかを保護者が確認する中で、茨城大は23年2月になって文科省に重大事態の発生を報告。だが、保護者が文科省に情報開示請求した発生報告書によると、茨城大は未調査にもかかわらず、女児や保護者の意向について「第三者委設置による再調査」と記していた。

 茨城大は23年4月、未報告に関する毎日新聞の報道を受け、太田寛行学長名で「問題行動調査で報告を行っていた。統計調査における報告をもって重大事態の報告を兼ねると誤認した」と釈明する声明をホームページで公表。6月の保護者との面談で、問題行動調査について尋ねられた担当理事が「重大事態が1件と報告した」と述べたが、虚偽の回答をしたことには触れなかった。回答の詳細を明らかにするよう求めた保護者に対し、大学はその後も「統計調査以外の目的で開示できない」として1年以上応じなかった。

 一連の経緯について茨城大は23日、24年6月28日に文科省に回答の修正を申し入れたと発表。太田学長名で「第三者委を設置していないにもかかわらず設置したとして誤った解答をしたことは、関係者の皆様の信頼を大きく損なうもので、深刻に受け止めている。ガバナンス上の大きな瑕疵(かし)があったと言わざるを得ない」などと釈明した。【西夏生】