【毎日書評】ああ、もうめんどくさい…同僚のフォローに疲れてメンタルがしんどいときの休み方

AI要約

本書の著者は労働者メンタルヘルスの専門家であり、同僚のフォローに疲れる人が増えていることに焦点を当てている。

自己変革よりもまずは自分の睡眠状況を見直すことが重要であり、睡眠不足が思考力低下につながることを解説。

適切な睡眠時間の確保が重要であり、短期的な睡眠補填では睡眠負債を解消できないことを指摘している。

【毎日書評】ああ、もうめんどくさい…同僚のフォローに疲れてメンタルがしんどいときの休み方

『職場の同僚のフォローに疲れたら読む本』(佐藤恵美 著、PHP研究所)の著者は、労働者メンタルヘルスの専門家として、過去20年間に1万人以上の働く人の相談に乗ってきたという人物。

そうした活動をするなか、仕事にやる気が持てず、「このままでいいのか」というモヤモヤした思いを抱いている人が増えていることを実感しているのだそうです。とくに注目すべきは、職場の同僚のフォローに疲れてしまったことからストレスをためる人が多いという点。

なかでも、よく気がついて、見過ごせず、ついがんばりすぎてしまう人は要注意なのだとか。まわりから「面倒見がいい」と思われ、頼りにされるようなタイプです。だとすればなんとかする必要がありますが、そのためにできる行動としては次の2点があるようです。

① 職場における仕事のやり方や仕組みなど、自分の「外側」に働きかける

② 人のフォローがしんどくなる背景を知って、自分の「内側」を変える

(「はじめに」より)

いうまでもなく①は大切なアプローチであり、職場の人たちの意識が高まれば可能なことではあるでしょう。

しかし、「いま感じているしんどさをどうにかしたい」という場合は、まず②の自分の「内面」への工夫を優先させるべき。そのため本書では、②の方法を中心として解説がなされているのです。

とはいえ、社会や職場を変革するとか、同僚の仕事のやり方を劇的に変えたりするのはなかなか困難。そこで、まずは自分の“いまのしんどさ”を少しでも軽くする方法を身につけようというスタンスなのです。きょうは第4章「自分にエネルギーを補充する」のなかから、すぐに役立てることができそうな「睡眠」に関するメソッドをご紹介しましょう。

脳と体を休ませるためには、なんといっても睡眠が大事。心のエネルギーをつかさどる脳の休息が充分でないと、どんなにがんばろうとしてもうまくいかないからです。

ある研究では、6時間以下の睡眠を続けると、昼間の認知能力が著しく低下することが指摘されています。この研究をわかりやすく解釈すると、5~6時間しか睡眠をとれていない状況が1~2週間続くと、日中にまるでワインを2~3杯飲んだのと同じくらいの思考力しか保てないということです。(140ページより)

そうなると人のフォローをする場面でも、相手の状態をきちんと把握し、自分の感情をコントロールしながら対応することが難しくなりそうです。

そこで、職場で同僚などにイライラすることが増えた場合、まずは自分に「最近、眠れているかな?」と問いかけることを著者はすすめています。

もしも答えがNOなら、なによりもまず睡眠をとることを最優先すべきだということ。ちなみに、ここでいう「眠れている」とは次のような状態だそうです。

・睡眠時間をきちんと確保できている

・寝つきがいい

・夜中に何度も目が覚めることがない

・起きる予定の時間より早く目が覚めてしまうことがない

・朝スッキリと起きられて、疲れがとれたと感じられる

(142ページより)

適切な睡眠時間は人によって違うものの、多くの人には7~9時間の睡眠が適しているようです。6時間を切るような睡眠時間しか確保できない場合は、「睡眠負債」となる危険が。つまりは、日々の睡眠不足が借金のように積み重なり、心身に悪影響をおよぼすおそれがある状態です。

明らかに睡眠時間の確保ができていない場合は、いまの仕事や家庭生活でかなり無理をしているということ。とはいえ、1日だけ適正な睡眠時間を確保したとしても、睡眠負債にはあまり効果がないようです。(140ページより)