SNSで“オレ流地震予知情報”を出す心理…識者は「フェイクニュースであり慎むべき」と指摘

AI要約

2017年に運用開始、19年に現在の名称に変わって以来、8月8日に初めて発表された「南海トラフ地震臨時情報」。発表を受けてX(旧ツイッター)では、《とりあえず見つけられた範囲で防災グッズを買ってきた》などの声が続々だが、気を引き締めたという声に交じり「根拠はないけど一応警戒して」といった注釈をつけつつ、「自分なりの警戒情報」を発する者が後を絶たない。

 ITジャーナリストの井上トシユキ氏はこの手の情報発信について、「本人は世の中の役に立つと思ってやっているが、分類するならフェイクニュースであり慎むべきもの」と指摘する。

 声の主の多くは、自分の身の回りで起きた「南海トラフ地震の前兆かもしれない現象」として、空に浮かぶ雲や夕焼けの写真、場合によっては動画をアップ。「地震雲かもしれない」「夕焼けが赤すぎる」といった注釈を付けて地震の前兆ではないかと予想。「万が一のために」と、来たるべき大地震に備えるべきだとメッセージを発しているのが特徴だ。

SNSで“オレ流地震予知情報”を出す心理…識者は「フェイクニュースであり慎むべき」と指摘

 2017年に運用開始、19年に現在の名称に変わって以来、8月8日に初めて発表された「南海トラフ地震臨時情報」。発表を受けてX(旧ツイッター)では、《とりあえず見つけられた範囲で防災グッズを買ってきた》などの声が続々だが、気を引き締めたという声に交じり「根拠はないけど一応警戒して」といった注釈をつけつつ、「自分なりの警戒情報」を発する者が後を絶たない。

 ITジャーナリストの井上トシユキ氏はこの手の情報発信について、「本人は世の中の役に立つと思ってやっているが、分類するならフェイクニュースであり慎むべきもの」と指摘する。

■「万が一のために」としながら行われる情報発信

 声の主の多くは、自分の身の回りで起きた「南海トラフ地震の前兆かもしれない現象」として、空に浮かぶ雲や夕焼けの写真、場合によっては動画をアップ。「地震雲かもしれない」「夕焼けが赤すぎる」といった注釈を付けて地震の前兆ではないかと予想。「万が一のために」と、来たるべき大地震に備えるべきだとメッセージを発しているのが特徴だ。

 真偽不明の情報に対しては、当然ながら「根拠なき情報は無視すべき」と、気象や地震の専門家によるアカウントが、惑わされてはならないと投稿している例がいくつも。しかし、専門家の投稿をかき消すかのように独自情報を垂れ流すアカウントは多いのだ。

 井上氏は今回の臨時情報発表以降、これまでにはなかった新しいタイプの情報発信が散見されると指摘する。

「今回は、5chの地震予言スレッドの書き込みを掲載しているまとめサイトへの誘導をXでポストして情報拡散を狙う例が目立ちます。そのうえで、過去の予言とされる書き込みを引用し、『この書き込みは、今回もうすぐ起こる大地震を予言しているのではないか』と解釈して見せるという手法で、『自分なりの警戒情報』の拡散を狙っています」

 それっぽい古文書を引っ張り出して、こじつけをまぶしながら読み解けば、どんな解釈でもひねり出せるといったところか。本人たちは世のため人のためを思って情報発信を行っているようだが、不確かな情報を増やしてしまっている以上、世の中に資する行為とは言いがたい。

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