【更年期体験談】「かかりつけの婦人科を見つけることが大切」漠然とした不安が和らいだきっかけとは?

AI要約

更年期の症状や原あいみさんの体験談について紹介されている。

更年期における不調のじわじわとやってくる感じやかかりつけの婦人科の重要性について語られている。

原あいみさんが本作を描く際に大切にしていた点や読後感について述べられている。

【更年期体験談】「かかりつけの婦人科を見つけることが大切」漠然とした不安が和らいだきっかけとは?

のぼせや発汗、イライラしやすいなど、さまざまな不調が生じると言われている更年期の症状。今、悩まれている方も、更年期が近づいてきて不安に感じている方もいらっしゃると思います。『私の生理のしまい方』(KADOKAWA)では、実際に更年期に不調を抱えた40~60代の9人の体験談がマンガとして描かれています。それぞれ大変な経験がありながらも、やわらかいイラストで表現された乗り越え方を見ていると、「なんとかなるかも」と思えるような作品です。著者の原あいみさんも更年期世代を迎えているお一人。ご自身の経験や今回の制作を通して印象が変わったことなどを伺いました。

■じわじわとやってくる不調

――現在、原さんは更年期世代とのことですが、何か変化は感じていますか?また、生理やPMSについては症状は重かったのでしょうか?

私は生理やPMSは、少しお腹が痛いとか調子が悪いくらいで、あまり悩まされなかったんです。でも産後に経血量がドバっと増えて、何度か失敗したこともありました。その対応にも慣れてきて、40代後半に入ってから、今までになかった頭痛や、どんよりする感覚が出て、少し不安定になってきて。

とはいえ、更年期かな?と思う症状は、生活に支障が出るほどでもないんです。不調を感じなかった頃を100とするなら、今は60~70くらい。更年期が理由とはわかっていないのですが、疲れが取れなくなって、とにかく無理ができなくなって、規則正しく寝ないと昼間に唐突に眠くなったり、目の見えづらさや耳の聞こえづらさも感じています。ほかにも、軽いホットフラッシュのようなものを感じたり、朝トイレで起きてしまったり、チクチクした服やピッタリした服は不快感があって着れなくなったり。わかりやすいエピソードがあるというよりは、地味な不調が日々じわじわとやってきています。

――私は今30代で、20代の頃よりは体力が落ちていることを感じているのですが、原さんは20代・30代・40代と年をとっていく中で、徐々に不調を感じることはありましたか?

私は「鉄人」と呼ばれるくらい元気で、40代の後半からガクンと不調がやってきました。以前はデザイン会社に勤めていて、周囲の人は定期的に発熱や体調不良になっていたのですが、私はめったに不調にならなくて。イラストの仕事なので、20代の頃は、夜更かしや徹夜も当たり前のようにあって、少しでも多く描くことを優先し、身体を駆使していたのですが、それでも朝はきちんと起きられていました。

30代に入ってから、なかなか子どもを授かれなくて、不妊治療を始めました。ハードな働き方との関連はわからないですが、自分の身体を労わったことがなかったことに気づいて、鍼灸に通ったり、ヨガをしたり、睡眠をきちんととったり、初めて自分の身体を整えることに向き合ったんです。

その後、子どもが生まれて、子育ての一番大変な時期は、子どもの命を生かしておくことに必死で。仕事をしながらの育児でしたので毎日を生きることに精一杯で、自分の体調を気にしている暇もありませんでした。子どもが少し手を離れる年になってきたときに私が40代後半になって、そこから急激に衰えを感じ始めているところです。

■かかりつけの婦人科を見つけておこう

――元々、生理やPMSが重くなかったのでしたら、不妊治療を始めるまでは、婦人科受診のご経験もほとんどなかったのでしょうか?

会社の健康診断に婦人科検診のオプションがついていたので、20代から年に1回は検診を受けていました。若い頃に自分で婦人科へ行くのはハードルが高いですが、健康診断と一緒に受けられるのはよかったですね。

本書をつくる中で、監修の関口由紀先生から「かかりつけの婦人科を見つけておくのが大事」というお話があったので、絶対に見つけておこうと思って、本の完成後に通いやすい婦人科を検索して、良さそうな病院を1軒見つけました。

関口先生からは、「大きな不調がなくても、今自分がどんな状態なのか知るために行っていいんですよ」と教えていただいたので、病院には最初に「そんなに重くはないのですが、更年期っぽい症状が気になっていて、検査もできると聞いたので」と伝えたところ、看護師さんに「今来て大正解ですよ!」と褒めていただきました。

今のところ、すごくつらい症状があるわけでもないので、定期的に通ってはいないのですが、何か不安があったらその病院に行こうと思っています。

――「困ったら行こう」と思える場所があるのは安心ですね。

調子が悪いうえに、調べたり、初めての病院に行ったりするのは大変なので、軽いうちに“いい婦人科”を見つけておくのはすごく大事だと思います!関口先生は「合う合わないがあるので、病院は3軒行くくらいの気持ちで」とおっしゃっていたので、私も3軒行ってみるつもりでした。運良く1軒目の先生がよかったので、それ以降、病院探しはしていません。「先生と合わない場合は、無理して通わなくていい」ということがわかっていたので、探す際も気持ちが楽になりました。

不妊治療のときにも、先生との相性は重要だと思ったんです。最初は人気のクリニックに行っていて、その先生とは考え方が少し違うことではあったものの、先生の意見を聞きたくて質問したら「なんでそんな質問するんですか?」とピシャリと遮断されてしまって。不妊治療自体がつらいものですし、そのうえ、お医者さんに怒られるとさらに傷つくので、別の病院へ通うことにしたんです。自分の「合わない」という感覚は大切にしていいと思いました。

――関口先生のお話を伺って、考えに変化はありましたか?

そもそも「なぜ更年期の不調が起きるか」メカニズムを教わり、自分で絵にしていくことで、納得ができました。それに、不調が起きても、ホルモン補充療法や漢方薬など、自分の身体にあった対処方法があるとわかって、ほっとしています。「ホルモン補充療法」という名前から、大きな注射や点滴をされたり、副作用が出たりと、なんとなく「怖いもの」というイメージを持っていたのですが、パッチや塗り薬、飲み薬など、気軽な方法もあって、そんなに恐れなくていいものだと思えるようになりました。

実際に不調が起きたときには、自分にどの方法が合うかをお医者さんに診てもらう必要があるので、かかりつけ医を持っていることが大事ですが、今は、元々、不妊治療や出産でお世話になった産婦人科と、更年期に詳しい病院を新たに見つけたことで、婦人科の相談をできる場を2か所持っています。かかりつけ医を見つけていれば、なんとかなりそうだと不安は和らいでいます。

■自分自身を「よしよし」してあげられるように

――本作を描く中で、どんなことを大切にしていましたか?

実在する人々のお話をどんなふうに読者さんに届けるかという点を大切に描いたつもりです。軽くは描きたくないものの、不安を増長するような表現にもしたくなく、かつ読後感としては「きっと大丈夫」と思える本にしたくて、その塩梅が難しかったです。

最初は、もう少しリアルなタッチで描いて、「大人女性の話」感を出そうとしていました。一本目を描いてみたときに、担当編集さんや周囲の人に読んでもらって「ちょっと重いよね」というフィードバックをいただいて、もう少し軽いタッチに変更したんです。自分に起きていることや、自分自身を「よしよし」って思ってあげられるようにしようという話になって、このタッチになりました。

インタビューを受けてくださった方々は、過去の出来事として明るく話してくださったのですが、症状の真っ只中ではつらかったと思うので、ライトにしすぎるのも違うと思っていて。ただ、私自身が、生活に支障があるくらいの不調を感じていないですし、定義上、更年期に突入しているかは、明確にはわかっていないこともあって、少し距離があったんです。でも、担当編集さんから「もっと丁寧に描きたい」とご指摘をいただいて、そこからもっと「自分ごと」として入り込んで描けるよう向き合いました。

私は自分のフィルターを通して、日常にある小さい幸せやヒントが見つけられたらという思いを込めているのですが、読者さんから「一つ一つの幸せと希望が感じられる読後感だった」という感想をいただいたのがとても嬉しかったです。

※更年期と閉経について 更年期とは閉経の前後5年の計10年間のことを指し、閉経の平均年齢は50歳と言われています。閉経は最後の生理から1年以上生理がこないときに初めて「閉経した」と判断できるものです。

※後編に続きます。

【プロフィール】 原あいみ(はら・あいみ)さん

イラストレーター。難しいことをわかりやすくマンガで伝えることが得意で、体験取材なども自ら行う。立体制作、撮影ディレクションも行い、企業や商品のイメージキャラクターも数多く手がける。

■Ameba公式トップブロガー「のちの日々」更新中https://ameblo.jp/aimihara

■Instagram:@aimihara

■X:@aimihara

インタビュー・文/雪代すみれ