「ありのまま」ではなく「あるがまま」に。「こうあるべき」を手放す、森田療法が説く生き方で楽になる!

AI要約

心身に生じる “ひずみ”によってストレスを受ける人が無理な生き方をすることがあり、それを解決するために森田療法が注目されている。

精神療法には西洋生まれの精神分析療法や認知療法、行動療法があり、原因を探して治療する考え方が一般的だが、森田療法では悩みの原因よりも自然な感情を受け入れて取り組む考え方が特徴。

森田療法は東洋的な考え方に基づいており、心と身体の一体性を重視することが特徴であり、不快な感情や体験を受け入れつつ日常生活に取り組むことを重視している。

「ありのまま」ではなく「あるがまま」に。「こうあるべき」を手放す、森田療法が説く生き方で楽になる!

「失敗してはいけない」「完璧にやるべきだ」などと自分を縛りつけるような、無理な生き方をしている人がいます。無理を重ねていくと、心身に生じる “ひずみ”によってストレスを受け、さまざまな悩みに苦しむことがあります。さらには不安を拡大させて、ますます深い悩みに陥っている人もいます。

そうした人たちがかかえる悩みへの対処法として、古くから知られているのが「森田療法」です。神経症に対する精神療法で、さまざまな症状に苦しむ人を救ってきましたが、近年、再び注目されるようになっています。

そこで当連載では、『新版 森田療法のすべてがわかる本』(北西憲二監修)から、全8回にわたり、森田療法の特徴や治療内容、適応する症状などについてご紹介します。今回は、森田療法の特徴についてご紹介します。

森田療法のすべてがわかる 第2回

第1回はこちら〈実は海外でも知られる「森田療法」とはなにか? 日本で生まれた伝統的な精神療法を徹底解説〉

精神療法には日本で生まれた森田療法だけでなく、西洋生まれの精神分析療法などもあります。不安などの感情をどうとらえるか、考え方の違いをみてみましょう。

まず、西洋生まれの精神療法には、原因を突き止めて意識化させる「精神分析療法」や、考え方のゆがみを修正する「認知療法」、間違った行動パターンを修正する「行動療法」などがあります。

共通するのは、患者がかかえている悩みは、なんらかの原因がもたらした結果だとする考え方。ですから、不安の原因を探し出してそれを治療したり修正したりすれば、感情や気分はコントロールできると考えます。

いっぽう森田療法では、悩みの原因探しは重視されません。その根底には、不安をもつのは自然なことであり、自然に反したとき、悩みが深まっていくととらえる東洋的な考え方があります。

また、思考を特別視する西洋と異なり、森田療法では、心も身体も自然の一部であり、通じ合うものとする東洋の「心身一元論」の考えが取り入れられています。そのため、緊張や不安、失敗といった不快な感情や体験を自然なものとして受け入れ、そのまま踏み出し、日々の生活のなかでできることに取り組むのが森田療法の特徴です。