一生に1度は訪れたいポーランドの祝日 儚く美しいスピチミェシュの花の道に、華やかなウォヴィチの行列

AI要約

2024年の日本は、祝日が3連休になることが多い当たり年。海外にもさまざまな祝日がありますが、日本との大きな違いの1つは宗教に関連した祝日が多いこと。

ポーランド中部にあるスピチミェシュという村は、聖体節に花の道を作ることで知られています。約2メートル幅のカラフルな道が約2キロも続き、とても華やか。

花の道を作る習慣のある場所は世界各地にありますが、約2キロもの長さの道を、村民が自分たちの庭の花をベースに作り上げるスタイルは、ほかにはあまりありません。

一生に1度は訪れたいポーランドの祝日 儚く美しいスピチミェシュの花の道に、華やかなウォヴィチの行列

2024年の日本は、祝日が3連休になることが多い当たり年。海外にもさまざまな祝日がありますが、日本との大きな違いの1つは宗教に関連した祝日が多いこと。5月にプレスツアーで訪れたポーランドで「聖体節」と呼ばれる祝日を体験しました。ヨーロッパの中でも敬虔(けいけん)なカトリックの国であるポーランドらしい祝日の様子をリポートします。

人口の約88%がカトリックのポーランドでは、宗教に関連した祝日が多め。その1つが聖体節です。キリスト教ではパンとワインをキリストの体と血として食す「聖体拝領」という儀式を日常的に行っていますが、年に1度、復活祭(イースター)から50日目の日曜日の次の木曜日は「聖体節」として、その意義が強調されます。日付は年によって変わり、2024年は5月30日でした。この日は祝日でスーパーなども休みになり、各地でミサや行列が行われます。

ポーランド中部にあるスピチミェシュという村は、聖体節に花の道を作ることで知られています。約2メートル幅のカラフルな道が約2キロも続き、とても華やか。2021年にはユネスコの無形文化遺産にも登録されました。

スピチミェシュの花の道は約200年の歴史がありますが、初期は今より控えめで、砂や小枝を使うのみだったそう。その後、花が加わり、第2次世界大戦後には現在のように凝った絵柄を描くスタイルになっていきました。

花のじゅうたんを作るのは、近隣の約30家庭の村人たちです。数日前から、花びらや草、枝、葉っぱ、川の砂など必要な素材を集めます。店で買うのではなく、自宅の庭や近隣から集めてくるそうです。

聞けば、この日のために花を育てている人もいるとか。確かに道沿いの家々の庭にはカラフルな花が咲き誇っていました。

作り方は、まずは道にチョークでデザインを描きます。次に大きな花や枝を固定するため、砂や土で仕切りを置き、花びらなどで埋めて仕上げていきます。準備はその日の午前中に数時間かけて一気に行われます。雨天決行ですが、季節柄そこまで天候が荒れることはないようです。

ちなみにこの作業、特に現場を仕切るリーダーはいません。みんな自分がやるべきことを分かっていて、黙々と作業をします。そんな伝統が、親から子へ、そのまた子へと引き継がれてきたのです。

花の道は多くの人が見に来て、周辺には屋台なども出ますが、作ったからといって、お金が儲かるわけではありません。あくまで村民の純粋な信仰心と村への愛着から続いています。花の道の美しさもさることながら、その思いにも心を打たれます。

花の道を作る習慣のある場所は世界各地にありますが、約2キロもの長さの道を、村民が自分たちの庭の花をベースに作り上げるスタイルは、ほかにはあまりありません。最初は宗教的な意味はなく、ナポレオンが村を通ると聞き、歓迎のために用意したのがきっかけ。実際にはナポレオンは来なかったのですが、村民たちは花の道を作ることを続けたそうです。

教会でのミサの後は、行列が花の道の上を歩きます。美しいままに保たれているのはたった数時間! 準備はほもちろん、片付けも村の人が担当。翌日に通りかかると、ちょうど片付けの途中で、花や草の匂いがイベントの余韻を残していました。

ユネスコの無形文化遺産に2021年に登録されてから、それまで数千人だった訪問者が約4万人まで増えたそうです。2024年の聖体節の日には、聖体節記念センターもオープンし、聖体節以外の日に訪れても、展示や映像で行事の様子を詳しく知ることができるようになりました。