北欧在住のテキスタイルデザイナー島塚絵里さん初の絵本「しずかなところはどこにある?」 心がざわざわするとき、開いてみて

AI要約

フィンランド在住のテキスタイルデザイナーである島塚絵里さんが、はじめての絵本『しずかなところはどこにある?』を出版しました。絵本は、大きな音が苦手な耳の大きなきつねが主人公である。

島塚さんはテキスタイルデザイン業界で長年活躍してきたが、娘が生まれてから絵本を読むようになり、絵本を描くことに興味を持つようになった。レーッタ・ニエメラさんとの出会いをきっかけに、『しずかなところはどこにある?』の制作が始まった。

ニエメラさんが突然ストーリーを思いつき、島塚さんに送ったことで、絵本の制作が現実のものとなった。このコラボレーションによって、やさしいきつねの物語が生まれた。

北欧在住のテキスタイルデザイナー島塚絵里さん初の絵本「しずかなところはどこにある?」 心がざわざわするとき、開いてみて

 フィンランド在住のテキスタイルデザイナーとして活躍中の島塚絵里さんが、はじめての絵本『しずかなところはどこにある?』(岩波書店)を出版しました。フィンランドの児童文学作家レーッタ・ニエメラさんが文を手がけ、島塚さんは絵を担当。フィンランドで先に出版されたのち、日本語版は島塚さん自身が訳を手がけての刊行となりました。

――『しずかなところはどこにある?』は、大きな音が苦手でドキドキしてしまう、耳の大きなきつねの絵本。テキスタイルデザインをしてきた島塚さんがなぜ絵本を描くことになったのですか。

 長年“もの”をデザインする仕事をしていて、人生にずっと寄り添ってくれる “もの”って素敵だなあ、と思っていました。8年前に娘が生まれ、寝る前に絵本を読むようになって、子どものときに出会う本も“一生寄り添ってくれる友達のようなもの”だなと。絵本を描きたい思いが大きくなり、出版社に企画を出してみたけれどなかなか進まなかったんです。

 そんなとき児童文学作家のレーッタ・ニエメラさんと出会いました。夏、芸術家が多く暮らす「フィスカルス」という村で私が個展を開いたとき、レーッタさんも原作を書いた人形劇を見に来ていて、私のギャラリーにふらりと入ってきたのです。マツのテキスタイル作品を気に入って購入してくれた彼女とすっかり意気投合して、「いつか一緒に絵本を作れたらいいね」なんておしゃべりしました。

 そうしたら3日後、「絵本のストーリーを思いついたの!」と、このお話のテキストがメールで送られてきてびっくりしました。「きつねは日本の昔話ではよくないイメージがある」と出版社に言われたことを話したので、彼女の中で“やさしいきつねのお話を書きたい”思いがふくらんだみたいで。人形劇を演じたロシア人の友達に「騒がしいと感じるときは、小指を耳に入れるとぴったりだよ」と教わるなど、いくつかのことが結びついてインスピレーションが突然降ってきたのだそう。「こんな素敵なストーリーに絵を描いていいの?」とまるでプレゼントをもらったような喜びでした。