コロナ後遺症が変異株で変化の兆し? オミクロン流行時ではデルタ流行時より減少傾向に

AI要約

新型コロナウイルス感染症の症状は、2~4日で回復することが一般的ですが、一部の患者では症状が2カ月以上続くこともある。

新型コロナウイルスはウイルス遺伝子を変異させ、デルタやオミクロンなどの変異株が現れている。これらの変異株は重症化のリスクを増加させている。

ワクチン接種は、新型コロナウイルス感染後の罹患後症状の発症率を有意に低下させることが示されており、特にオミクロン流行時には有効性が高い。

コロナ後遺症が変異株で変化の兆し? オミクロン流行時ではデルタ流行時より減少傾向に

【役に立つオモシロ医学論文】

 新型コロナウイルス感染症の症状は、2~4日で回復することが一般的です。しかし、倦怠感や関節痛、頭痛などの症状が2カ月以上にわたって続くこともあり、このような症状を罹患後症状(コロナ後遺症)と呼びます。

 2019年に発生した新型コロナウイルスは、しばしばウイルス遺伝子を変異させました。21年9月に流行したデルタ変異株は、その重症化リスクが高いことで注目を集めました。22年から現在にかけては、オミクロン変異株の系統が主流株となっています。

 そのような中、新型コロナウイルスの変異と、罹患後症状の重症度を比較した研究論文が、世界的にも有名な医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」の電子版に7月17日付で公開されました。

 米国の医療データベースを解析したこの研究では、20年3月1日~22年1月31日の間に新型コロナウイルスに感染した約44万人と、同ウイルスに感染していない約475万人が対象となりました。ウイルス株をデルタ前、デルタ流行時、オミクロン流行時に分け、罹患後症状の発症率やワクチン接種との関連性が検討されました。

 その結果、ワクチンを接種していない人における罹患後症状の発症率(100人当たりの発症件数)は、デルタ前で10.42件、デルタ流行時で9.51件、オミクロン流行時で7.76件と、一貫して減少していました。また、ワクチンを接種している人では、ワクチンを接種していない人と比べて、デルタ流行時で44%、オミクロン流行時では55%、統計学的にも有意に発症率が低下しました。

 論文著者らは「罹患後症状はウイルス変異とともに減少したが、オミクロン流行時にワクチン接種をした人でも、その発症率は依然として高い」と結論しています。

(青島周一/勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰)