【社説】猛暑下の健康 命守る取り組みの徹底を

AI要約

危険な暑さが続き、新型コロナウイルス感染拡大の中、熱中症対策が必要。

世界的に記録的な猛暑が続く中、熱中症による死者も増加。

夏のイベントや高齢者への配慮、新型コロナ感染対策が重要。

【社説】猛暑下の健康 命守る取り組みの徹底を

 危険な暑さが続き熱中症の恐れが高まっている。猛暑で体力が低下する中、新型コロナウイルスも感染拡大している。命を守る取り組みを徹底したい。

 今年の夏は、地球温暖化などの影響により世界各地で記録的な猛暑となっている。

 欧州連合(EU)の気象情報機関によると7月下旬、2日連続で世界の平均気温が観測史上最高となった。日本の気象庁も7月の平均気温は平年より2・16度高く、1898年の統計開始以降で最も高かったと発表した。

 九州各地も最高気温35度以上の猛暑日が続く。今後も厳しい暑さが予想される。

 熱中症で救急搬送される人や亡くなる人が全国で相次いでいる。熱中症による死者は近年、高齢者を中心にほぼ年千人を超え、地震などの自然災害を上回る。

 農作業などで外に出たときだけでなく、屋内でもかかりやすい。小まめな水分補給やエアコンの適切な使用を心がけたい。電気代が高騰し、節電のためにエアコンの使用を控える人もいるだろう。健康第一で考えてもらいたい。

 高齢者は暑さや喉の乾きを感じにくく、自分でも気付かないうちに熱中症になる可能性がある。特に1人暮らしの人が心配だ。親族や地域の人たちが意識的に声をかける配慮が欠かせない。

 夏休みはイベントも多い。主催者は延期や中止をためらわず、屋内への切り替えなどの工夫も必要だ。

 冷房が効いた場所で暑さをしのぐ「クーリングシェルター」の運用が始まった。危険な暑さが予想される場合、自治体は指定した施設を無料開放することが今年から義務付けられた。公民館やショッピングモールなどの指定場所を周知し、気兼ねなく利用できる環境を整えてほしい。

 コロナ感染者が増えている。厚生労働省によると直近1週間の1定点医療機関当たりの感染者数は14・58人で、前週より約1人増えた。

 都道府県別では佐賀の31・38人が最多で、インフルエンザ流行の警報基準となる30人を超えた。宮崎25・98人、熊本25・46人、福岡19・54人など九州の流行が目立つ。

 新型コロナはこれまでも夏と冬に感染が拡大している。夏はエアコンで室内を閉め切り換気が悪くなる。マスク着用も避けがちだ。

 現在は新しい変異株「KP・3」が流行している。感染しやすい性質があり、ワクチンを接種した人も注意が必要だ。国や自治体、医師会は最新情報を発信し、医療体制を万全にしてほしい。

 新型コロナが感染症法上の5類に移行し1年以上たつ。4月以降は治療薬や入院費など自己負担が増えた。重症化しやすい高齢者や持病のある人の受診控えが気になる。

 夏休みやお盆で人の交流機会が増える。手洗いやマスク着用など基本的な感染対策に努めたい。