なぜか搾取され続ける関係。あなたは「助けたい症候群」に陥っていない?

AI要約

「スーパーヘルパー・シンドローム」と呼ばれる助けたい症候群について、自己犠牲が及ぼすメンタルヘルスリスクについて解説。

症候群に陥った人は、他人を助けることが自己承認や愛されるための唯一の手段だと考え、自己の欲求を犠牲にする傾向がある。

過度な助け行為は身体的・感情的な疲弊を招き、睡眠障害や燃え尽き症候群、うつ病などのリスクが高まる。メンタルヘルスへの影響は深刻である。

なぜか搾取され続ける関係。あなたは「助けたい症候群」に陥っていない?

他人を助けたい気持ちは立派だが、自分を犠牲にしてまでとなると、メンタルヘルスの問題が起きかねないと専門家は危惧する。

用事がある時しか電話をかけてこない「友だち」もいれば、ほとんど初対面なのに突然、重たい打ち明け話をディナーの席でしてくる人もいる。そして上司から「君なしではこの仕事が終わらないんだ」と泣きつかれ、やむなく残業をすることもある。しかしながら常に自分よりも他人を優先し、家族や友人、同僚や配偶者を助け、自分のことは二の次にする人たちがいる。イギリスの心理学者のジェス・ベイカーとロッド・ヴィンセントは、こうした行動をする人たちに注目した著書『The super-helper syndrome(スーパーヘルパー・シンドローム)』(Flint Books刊)を2022年に出版し、いわゆる「助けたい症候群」について論じている。

ふたりの著者によると、この症候群に陥った人には共通点がある。それは、"良い人とみなされて愛され、承認を受けるには他人を助けることが唯一の道である"、"世界を救うことが自分の務めで、他人は自分の助けなしにはどうにもならない"、"本当にやりたいことは自分にない"といった考えを持っていることだ。

他人を助けたい気持ちはもちろん立派だが、行き過ぎるとメンタルヘルスのリスクが生じる。常に誰かを助けようとしていると肉体的にも感情的にも疲弊するおそれがあるとロッド・ヴィンセントは警告する。「与えてばかりいると自分が空っぽになってしまい、なにも与えられなくなります」。その結果、睡眠の質が低下し、身体の痛みや不安な気分に悩まされ、すぐにイラ立つようになる。

そうなると燃え尽き症候群やうつの一歩手前だ。どうしてそうなるかの理由は明快で、「他人を支えたいという欲望に限度がないため、自分を忘れてのめり込んでしまい、健康を害してしまうのです」とフランスの精神分析医のマルジョリ・リュガリは指摘した。