歩行リハビリに装着型ロボットの力 奈良のスタートアップが開発 衆知を結集

AI要約

関西のスタートアップ企業が独自の技術を組み合わせて開発したアシストスーツが注目を集めている。

イノマーが開発中の歩行リハビリ用ウエアラブルロボット「プロトH」はワイヤ技術を活用し、半身がまひした患者の歩行補助に効果的な機器だ。

プロトHはシンプルな構造でありながら、モーターとワイヤによって体の動きを補助し、療法士の負担を軽減すると同時に患者の歩行能力を向上させる。

歩行リハビリに装着型ロボットの力 奈良のスタートアップが開発 衆知を結集

歩行リハビリの支援にロボット技術を活用しようという動きが広がるなか、荷物の運搬作業などの負担を軽減するアシストスーツの技術を応用した機器が注目を集めている。関西のスタートアップ企業がそれぞれの独自の技術を組み合わせて開発。ワイヤを伸縮させて関節の進展を促すほか、シンプルな構造で着脱も容易という。次代の技術を追求する若き会社を訪ねた。

■ワイヤ技術活用

「モーターでのワイヤ伸縮で、アシスト力を生み出します」。28日、大阪市内で開催された「大阪府理学療法学術大会」で、スタートアップ企業「INOMER(イノマー)」(奈良市)が開発中の歩行リハビリ用ウエアラブルロボット「プロトH」が公開された。

脳血管障害などによる後遺症で半身がまひした患者向けの機器。イノマーの特徴はワイヤ技術を活用したウエアラブルスーツの開発。シンプルな構造で高い効果を生み出すことを目標とする。〝力と技のアシスト〟をテーマに今年4月に設立された。

第1弾のプロジェクトが、半身にまひが残る患者に向けた歩行リハビリ用ウエアラブルロボットの製作だ。ウエアラブルスーツはアシストスーツやパワードスーツともいわれ、圧縮空気やモーターなどの力を利用して、重い荷物の移動などで腰や腕の負担を軽減する。この技術を応用したのがリハビリ用ロボットで、足や腕の機能回復訓練に、さまざまな機器が活用されている。

プロトHはベルトを使って腰と太ももに電装ユニットなどのパーツを装着。モーターでワイヤを伸縮させることで体の動きを補助する。イノマーで広報を担当する福井啓子さんは「体の片側にまひの残る患者さんは足を踏ん張る力が弱く、姿勢の維持が難しいので歩きにくくなる。プロトHは、ワイヤのアシストで太ももを引きながら、ヒップパッドで臀部を押し込み、姿勢がよくなる。ワイヤの補助で足を踏ん張ることができ、自然に反対側の足が前に出る。歩幅が広がり歩きやすくなり、スピードも上がる」と話す。

■療法士の負担減