自分の意見を話そうとすると涙が出てくる…その理由と克服法を臨床心理士が解説

AI要約

自分の意見を言う時に泣いてしまう悩みを抱える28歳の女性からの相談に、臨床心理士が具体的な対処法を提案。

泣くことは決して悪いことではなく、ストレスの反応として自然な現象であることを説明。

泣く原因として感情の抑制、自己肯定感の不足、過去の傷つき体験が考えられ、それぞれに対処法を提案。

自分の意見を話そうとすると涙が出てくる…その理由と克服法を臨床心理士が解説

体と同じく、ココロも健やかな状態でいたいものだけど、メンタルケアはなにかと根性論や「気の持ちよう」で語られがち。悩みは、実は心理学的なテクニックで対処できるものも多いという。そこで、臨床心理士の南舞さんが、読者のお悩みに具体的な対処法をレクチャー。今回は、28歳の女性からのお悩みについて。

相談者Nさん:『自分の意見を話そうとすると、涙が出てくる…』

どんなに言いたいことがあっても、自分の意見を言おうとすると泣きそうになってしまい(実際に涙が出る時があります)、すると言葉が詰まって出てこなくなってしまいます。昔からそうで、これまでもなんとか克服しようと、事前に言いたいことを紙にまとめてみたり、一度自分の中で練習してみたりするのですが、いざ人を目の前にするとダメで......どうしたら自分の意見を言えるようになりますか?

臨床心理士・南さん:『少しずつ慣れていきましょう』

Nさん、お悩みありがとうございます。自分の意見や本音を求められる機会って公私共にありますし、そんな時に、自分の意見を言おうとすると泣きそうになる、それが毎回なのだとすると、Nさんにとってはかなりしんどいだろうなと思ってしまいました。また、それを克服しようと自分なりに色々と試されていると言うお話しも聞き、なんとか力になれないものだろうかと感じています。まずひとつ、お伝えしたいのが、泣くことは決して悪いことではないと言うことです。泣くことは緊張や葛藤場面の中で起きる自然な反応なので、どうか必要以上に自分のことを責めないでもらいたいと思います。さて、Nさんのお悩みを伺いながら、そこにどんな背景があるのか、またどんな手立てがあるかについて考えてみましたので、何か参考になれば幸いです。

まず、泣くことについてですが、泣くという行為は、副交感神経の働きによって興奮状態を抑え、リラックスさせようとすることによって起きると言われます。泣いている状態の時は、ストレスの負荷がかかっている状態であり、Nさんが自分の意見を言う時に泣いてしまうのは、意見を言うという行為に対してストレスを感じた時に現れる反応なのだと思います。では、自分の意見を言うことがストレスになってしまう理由として、どんなことが考えられるのでしょうか。心理学的に捉えたときに、以下のようなことが考えられるのではないかと思います。

(1)感情を抑えるのが長年のクセになっている

自分の中に起きる、怒り・悲しみ・不安・緊張など、自分の感情を表に出さずに自分の中に溜め込んでしまうことが当たり前になっていないでしょうか? 溜めた感情が自然に消えて無くなってしまうことはありません。バケツの水と一緒で、容量を超えると溢れてしまいます。特に意見など自分の本音を話そうとする時は、いつもより感情が強くなるため、感情が抑えきれなくなり、涙という形で現れているのでしょう。

(2)自分の考えを肯定できない

自分の意見や想いに対して自信が持てなかったり、自分の意見は『間違っている、価値がない』と思っているということはないでしょうか?そういった考えが働くと、意見や本音を言おうとする場面の時に、強い不安や恐怖を感じ、そのストレスが涙として出ると言うこともあります。

(3)過去の傷つき体験によるもの

『自分の意見や本音を言うことが苦手なのはもともとの性格によるもの』と片付けることもできますが、過去の傷つきによるものという可能性もあります。例えば、過去に自分の意見を伝えた際に、相手に否定された、受け入れてもらえなかったという出来事が傷つき体験となり、同じような状況になった時に、反応として涙や言葉の詰まりを引き起こすことがあります。