『射精責任』の著者が語る「中絶と避妊は女性だけの問題ではありません」

AI要約

男性の生殖能力と妊娠における責任に焦点を当てた本『射精責任』が話題を集めている。従来無視されてきた男性の責任を明確にし、世界中で大きな反響を呼んでいる。

遺伝子検査技術の登場により、男性が責任から逃れることが難しくなり、父親の責任を明確にする重要性が浮き彫りになっている。

男性の生殖能力と責任を十分に認識し、無視せずに取り組むことの重要性を訴える本書は、男女平等や社会の課題について考えさせられる。

『射精責任』の著者が語る「中絶と避妊は女性だけの問題ではありません」

中絶の是非をめぐる論争を根本から方向転換しようと試みた本『射精責任』。男性のちょっとした意識と行動で、望まない妊娠や避妊の負担といった女性の苦しみが減らせるのだ、と筆者は言う。世界中で大きな反響を呼んでいる本書の筆者ガブリエル・ブレアに話を聞いた。

──本では、「セックスへの同意」と「妊娠の同意」が異なることなど、革新的なことがいくつか指摘されています。それらは考えてみれば当たり前です。ですが、そんな当たり前のことを、今まで誰も指摘してこなかった。なぜ、私たちの社会は、今までそれらの点に注意を払ってこなかったのだと思いますか?

はい。多くの人がそれらに気付いていなかったと思います。私ですら、考えたことがありませんでした。6人の子供がいて、セックスについても妊娠についても充分知っている私でさえ。

正確な答えかどうかはわかりませんが、遺伝子検査技術が誕生するまで、私たちは誰が子供の父親かを証明することができなかったからではないでしょうか。

人類の長い歴史において、母親が誰かについては明らかでした。妊娠しておなかが大きくなるし、出産しますからね。でも、父親はそうではありません。

顔が似ていようが周りが何と言おうが、彼は「僕じゃない」と言えてしまう。さらに、「その女はあばずれで、誰とでも寝るんだ」と言って、妊娠した女性、赤ちゃんといったすべての責任から逃れることができました。

そういう男性に対して私たちは何もできませんでした。ですが今日、遺伝子検査がその証明を可能にしてくれたんです。

遺伝子検査の登場は、状況を変えた要因の一つであるように思えます。

現在では、男性が逃げようとしたって、遺伝子検査と法律によって責任を義務付けられます。

一方で女性の妊娠は、逃げも隠れもできません。視覚的に明らかですし、理解しやすい。男性とは違うのです。

そういったわかりやすさから、私たちの脳は妊娠と女性を直接的に結び付けがちなのではないでしょうか。そして、女性の生殖機能の妊娠可能期間などには注意を払わず、ただただ女性の体のことばかり考えてきました。

実態はどうかというと、男性の生殖能力は毎日のようにあり、射精するかしないかを本人が決められます。妊娠や避妊により直接的に関わっています。

私たちはたんに、その事実を無視してきただけなんです。そして、もう無視を続けるのはやめるべきです。それを訴えたくて、私はこの本を書きました。