親の財産が「ほぼ自宅だけ」だと、意外とモメがち…子どもたちで「実家」をどう分ければいいのか【税理士が指南】

AI要約

相続における不動産の処分方法や遺産分割について具体的な指南がされている。

相続人が複数いる場合の解決策や代償分割、遺言の重要性について詳細に説明されている。

円満な相続のための家族間の話し合いや遺言の作成の重要性が強調されている。

親の財産が「ほぼ自宅だけ」だと、意外とモメがち…子どもたちで「実家」をどう分ければいいのか【税理士が指南】

もしも相続が起こったら、この場合はどうしたらいいのだろう?

実際のところ、相続のときに初めて気づく問題や疑問はいろいろあります。家族の状況や遺産の状態によって、思わぬトラブルになることも。最近の相続で、よく起こりがちな疑問や心配事に対し、『知って安心!不動産の相続 2024年版』を監修したランドマーク税理士法人の松岡清隆税理士が対処法を指南する。

Q. 親の財産がほぼ自宅だけなら子どもたちでどう分ける?

A. 長男が継ぐならほかの相続人には代償金やハンコ代を渡す手も

親の財産の大半が自宅(実家)だというケースは少なくありません。その場合、父名義であった自宅を父が亡くなったときの一次相続で母が継ぎ、母が亡くなった二次相続で子どもが継ぐというのがよくあるパターンです。

相続人である子どもが複数人いる場合、誰も実家に住むつもりがなければ売却して金銭で分けるのが最もシンプルな解決策でしょう。

ただ、相続人の誰かが実家を継ぐ必要がある場合、話はやや複雑になります。そもそも実家の名義が父と母の共有名義の場合もあります。例えば父母の持ち分が2分の1ずつだったとしましょう(図表1)。

子どもは長男と次男、長女の3人とします。父の相続(一次相続)の際に、長男が実家を継ぐことを条件に父の持ち分2分の1を引き継ぐこともあります。

続いて母が亡くなり二次相続が発生した際、長男が母の持ち分も相続するとすべての持ち分が長男に渡ります。

「相続財産をほぼ長男が1人で取得することになるため、次男や長女に不満が出ることも。次男や長女が実家を共有する意思がないなら、合意のうえ、長男が自分の財産から一定の金額を代償金として渡すのが一つの方法です」(松岡税理士)

これを代償分割といいます。例えば相続財産が6000万円だとしたら、その3分の1の2000万円ずつを次男、長女に渡すといった具合です。

「そこまで厳密な金額でなくても、長男が実家をすべて相続するという内容の遺産分割協議書に、次男・長女に判を押してもらうために、気持ちとして一定額を渡す方法もあります。これを“ハンコ代”と言います」(松岡税理士)

できるだけ円満に相続が進むように、生前に父母が「長男に不動産を渡すので、次男と長女は100万円ずつで了承してほしい』といった内容を遺言に記すのも手。

「遺言までいかなくても家族で話し合いをしておくことをお勧めします」(松岡税理士)

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