トウモロコシの粒はなぜ黄色い? 白いトウモロコシとの違いとは 栄養士に聞いた
トウモロコシの色には黄色、白色、バイカラーの3種類があり、黄色のものが甘味が強く、健康に良いカロテノイドを含んでいます。
トウモロコシは栄養価が高く、炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルなどが豊富に含まれています。
トウモロコシの保存方法や調理法についても紹介されており、購入後はすぐに加熱して保存することがおすすめされています。
夏が旬のトウモロコシ。ゆでても焼いても、甘くておいしいですよね。つややかな黄色い粒から夏らしさを感じますが、最近では白いトウモロコシも見かけるようになりました。色が違うだけで、ほかにも異なる部分はあるのでしょうか。また、トウモロコシの粒が黄色い理由とは? 栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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トウモロコシといっても、実はたくさんの品種があり、私たちが食べられる品種のほうが少ないともいわれています。そのなかで、油になるもの、ポップコーンになるもの、家畜のエサになるものなどがあり、私たちがトウモロコシと呼んで食べているのはスイートコーン種。甘くてジューシーな味わいで食べやすいです。
スイートコーンは、その色合いから「黄粒」「白粒」「バイカラー」の3タイプに分けられます。バイカラーは、黄色と白い粒が混ざったものです。
黄色の粒が特徴のスイートコーンは、甘みが強いことで知られています。白い粒のものはさらに甘みが強く、皮がやわらかいので生食できるものも。バイカラー種は、黄色と白の粒が3対1の割合で混ざっているもので、見た目の色のコントラストと強い甘みが特徴です。
なぜ粒が黄色いかというと、黄色い粒のトウモロコシには、フィトケミカルである天然色素のカロテノイドが含まれているからです。オレンジ色や赤色、黄色などの色素成分であるカロテノイドには、βカロテンやルテイン、ゼアキサンチンなどがあり、さまざまな効果が期待されています。
たとえば、βカロテンは必要時に体内でビタミンAに変換され、目の健康、皮膚や粘膜を強くして免疫機能の向上に。また、ルテインやゼアキサンチンも目の病気予防に寄与するといわれています。
一方、白い粒のトウモロコシには、これらのカロテノイドがほとんど含まれていませんが、それ以外は黄色も白も栄養面での違いはありません。
トウモロコシは「世界三大穀物」のひとつで、栄養価が高い食品。粒の色にかかわらず、エネルギー源である糖質をはじめ、たんぱく質や脂質も多い特徴があります。また、水分を吸収して便のかさを増やし、便通を促すことが期待できる不溶性食物繊維、エネルギー代謝の補酵素であるビタミンB1、B2、抗酸化作用のビタミンEも含みます。
体内の余分な水分や塩分を減らす効果のあるカリウムや、貧血予防効果の鉄などのミネラルも豊富。暑さで食欲が湧かないときは、栄養価が高いトウモロコシを少量でも食べるといいでしょう。
水溶性であるビタミン類やカリウムなどのミネラルは、ゆでると栄養メリットが失われます。トウモロコシをゆでる際は、薄い皮がついたまま行うといいでしょう。または、すべての皮をむかずに1~2枚残してラップで包み、電子レンジで加熱する方法も。旨味も流出せず、おいしく食べられます。
トウモロコシを買うときは、ヒゲが多くて色が茶色いものを選びましょう。茶色のヒゲは完熟している証です。ただし、収穫後24時間で栄養成分が半減するといわれています。すぐに食べない場合も、購入したその日に加熱して、冷蔵保存か冷凍保存するといいでしょう。
もしすぐに調理せず、一度冷蔵庫で保存する場合は、皮つきのまま一本ずつキッチンペーパーに包んでポリ袋に入れ、ヒゲの部分を上にして立てた状態にするといいでしょう。トウモロコシは縦に成長するので、横にして保存するよりも鮮度の落ち方がゆるやかになります。