日本は今“薬不足”!? カケハシ代表取締役社長 中尾豊「薬の在庫をデータ管理して、発注量もAIがサジェストするサービスが提供できれば…」

AI要約

笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」に、中尾豊さんをゲストに迎えて話を伺う。

中尾さんは医療従事者の家系で生まれ、カケハシ代表取締役社長として活躍。新しい働き方や薬不足の問題などについて語る。

カケハシの取り組みや中尾さんの考えを通じて、医療業界や社会の未来への展望が語られる。

日本は今“薬不足”!? カケハシ代表取締役社長 中尾豊「薬の在庫をデータ管理して、発注量もAIがサジェストするサービスが提供できれば…」

笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。7月20日(土)の放送は、前回に引き続き、株式会社カケハシ代表取締役社長の中尾豊(なかお・ゆたか)さんをゲストに迎え、お届けしました。

医療従事者の家系で生まれ育った中尾さんは、武田薬品工業株式会社に入社し、MR(医療情報担当者)として活動した後、2016年3月に株式会社カケハシを創業。その後、内閣府主催の未来投資会議 産官協議会「次世代ヘルスケア」、厚生労働省「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」に有識者として招へい。2022年から東京薬科大学 薬学部 客員准教授、2023年からは新潟薬科大学 客員准教授もつとめています。

現在、カケハシの従業員は約350人。そのなかには薬剤師の資格を持つスタッフや開発に関わるスタッフ、さらには営業、サービスを導入したクライアントをサポートするスタッフなど多様な職種の人材がいると言います。

そんなカケハシは基本的に在宅勤務を推奨しており、「(従業員の)一人ひとりをプロとして見ているので、コロナ前から社員に対し、高い裁量権や責任に基づいて“高いパフォーマンスを出して働いてください”と伝えています」と語ります。

そこで、カケハシに欲しい人材について尋ねると、「結果的に後世に価値を残したい、子どもに胸が張れる仕事がしたいという方に入社していただけるとうれしいです。そういう思いがある人は、頑張れる方が多いと思います」と話します。

続いて、日本の直近の問題“薬不足”にも言及。このことは、子育て真っ最中の笹川も実感しているそうで、「なぜ(薬不足が)起こるのですか?」とストレートに質問します。これに、中尾さんは「ジェネリック薬品(後発医薬品)の品質問題などを発端に、製造・流通が最適化されていないんです。数字だけで見ると、うまく配分すれば事たりる可能性もあるのですが、出荷制限による供給不足や、欠品を防ぐために、ある程度の在庫を確保しておきたいという(薬局側の)事情もあるので」と理由を語ります。

そうした状況の打開策として、中尾さんは医薬品の在庫をデータで管理し、発注量もAIがサジェストしてくれるカケハシのサービス「Musubi AI在庫管理」で貢献できればと言います。「(薬の需要と供給を)みんなで適正化していけば、必要な方に必要な薬が届く世界になる。あとは(在庫データを)クラウド化し、“ここに足りないから配分しよう”と(薬局に薬が)ちゃんと行きわたるようなモデルもできたらいいなと思っています」と話します。

さらには、「理想的なのは、薬局もしくは医療機関と卸業者さんとメーカーの情報がつながるモデルです。これはいちベンダーがやる仕事ではなく、国としても、サプライチェーンをつなげていかないと患者さんの不利益になってしまうので、薬が足りていない薬局はどこなのか、卸業者さんが自然と分かるような状況を確保すべきだと思っています」と持論を述べます。

一方で、将来的な課題を伺うと、「“医療全体に対してどう貢献していくか”をもう少し考えないといけないと思っています」と中尾さん。

現状、レセプト(診療報酬明細書)の分析はできるものの、臨床カルテの領域は未知数であるとし、「何百万人単位で(臨床カルテのデータを)分析できるようになると、新しいエビデンスを作れたり、電子カルテからサジェストをすることで自ずと医師の診察や処方の参考になる情報を出せるような仕組みになると思います」と語ります。