「布団におしっこで何度も買い替えた」子猫と引き裂かれた母猫が鬱病の男性の脳に大量分泌させた"奇跡の成分"

AI要約

動物と一緒に暮らすことが人生や仕事に好循環をもたらす。

愛情を持ち、守ることで動物から守られる感覚を得る。

動物との接触によって分泌されるオキシトシンがストレスを減らし、リラックスをもたらす。

■仕事にも人生にも好循環をもたらす

 あなたはこれまでの人生で、動物と一緒に暮らしたことがありますか? 犬や猫、モルモットやハムスター、最近では兎など、様々な動物がペットとして愛されています。動物との生活は、人生を間違いなく好転させる。私自身の実例も交えながら、ビジネスパーソンこそ動物と暮らしたほうがいいことをお伝えしたいと思います。

 動物に対して愛情を持ち、守れば守るほど、自分が守られている感覚が得られます。癒やそうとすれば癒やされ、優しくすれば優しくされているように感じる。動物への愛情は、すべて自分に返ってきます。

 単なる精神論と思うかもしれません。しかし、ペットの世話をすることで自分も幸せになれることは、脳科学でも明らかにされています。

 脳の視床下部や下垂体から分泌されるオキシトシンは別名「愛情ホルモン」とも呼ばれ、人間が社会性を育むために発達したホルモンだと言われています。オキシトシンの働きで、人間は人と接触したり、相手に親切な行為をすることで満足感や喜びを感じられるようにできているのです。

 ここで重要なのは、オキシトシンは動物との接触によっても分泌されること。ペットと触れ合うことでオキシトシンが分泌され、ストレスホルモンのコルチゾールが低下し、リラックスできるのです。

 近年では、脳科学の研究成果をもとにつくられた、動物と過ごすことで精神的なリハビリを行うアニマルセラピーにも注目が集まっています。うつ病をはじめとする心の病が増加をする中で、人間の心の健康に与える動物の役割も大きくなってきていると言えます。

 実際、うつ病を発症していた私の人生を変えてくれたのは、後にテコと名付けた保護猫でした。

 テコと出会う直前の頃の私は会社勤務で、電話がかかってくれば24時間365日対応しなければならないクレーム対応の部署に所属していました。緊張が切れない毎日を過ごす中で、家族とのトラブルや飼っていた猫との別れが重なり、うつ病を発症してしまったのです。何とか自分を立ち直らせようと、別れた猫と似た猫を探すうちに出会ったのが、保護動物施設の隅で震えていたテコでした。

 うつ病を発症して弱くなった自分よりもさらに弱いテコと出会ったとき、強い責任を感じたのを覚えています。この子が死ぬ最期のときまで、一生守ってあげたい。弱り切っていた当時の自分は、走るどころかちょっとした散歩すら難しく、通勤などとても無理、という状態でした。まるで沼を歩いているような感覚で、一つ行動するとさらに深く沈んでしまい、前に進めなくなっていくような日々を送っていました。しかし、テコを家に引き取り一緒に暮らし始めたことで、沼が乾いて足場ができるように、人生を前に進められるようになったのです。

 一人だった暮らしにテコが加わり、「今日はこんなことがあった、あんなことがあった」と話すようになりました。もちろん、テコは猫ですから、何か言葉を返してくれるわけではありませんし、ニャーと鳴き声を出すこともありません。しかし、テコに自分の一日を話すだけで、「自分は一人じゃないんだ」と思えるようになったのです。うつ病を発症し、人と相互にコミュニケーションをとるのを負担に感じていた自分は、相槌を打つでもなく何か意見を返すでもなく、ただ自分が話をしている間そばにいてくれるテコの存在に救われたのです。