3500万の住宅ローンを組んだ「年収700万の夫婦」、“老後破綻の危機”に陥ったワケ

AI要約

住宅ローンを繰り上げ返済してきた夫婦が、ライフプランニングをすると貯蓄残高が5年後にマイナスになることが判明。

知子さんの収入ダウンや多額の生命保険料支払いが家計破綻の要因となっている。

繰り上げ返済のため貯金が100万円しか残っておらず、将来の教育資金負担が危機を引き起こしている。

3500万の住宅ローンを組んだ「年収700万の夫婦」、“老後破綻の危機”に陥ったワケ

3500万円の住宅ローンを組んでマイホームを手に入れ、繰り上げ返済にいそしんできた伊藤孝さん(40歳・仮名、以下同じ)、知子さん(39歳)夫婦。

しかし、【前編】「3500万の住宅ローン組んだ「年収700万夫婦」、繰り上げ返済をして「地獄を見た」ワケ」で詳しく見た通り、教育資金について相談するために、著者であるFPの中村賢司さんのもとを訪れてライフプランニングをしてもらうと、あと5年ほどで家計が破綻してしまうことが明らかになりました。

いったい二人は何を間違ってしまったのでしょうか。

5年後に貯蓄残高がマイナスになる原因のひとつには、知子さんの収入ダウンがありました。知子さんは次男が小学校に上がったことをきっかけに、子育てに専念したいと考えはじめ、今年からフルタイムで働くのをやめて夫の扶養の範囲内でパートとして働くようになっていたのです。

年収は今までの400万円から100万円に減り、これまでのようなペースでは貯蓄ができなくなりました。さらにこれからお子さまお二人の教育資金にお金がかかり、年間収支がマイナスの時期がしばらく続くという現状もわかりました。

ご夫婦は子供の教育について、できれば高校から私立に通わせ、大学進学資金まで親が負担してあげたいという希望を持っており、そのために学資保険にも加入していましたが、それだけでは到底足りません。

家計が破綻する原因の最大要因は、この知子さんの収入ダウンでしたが、それだけではありません。家計の収支がマイナスに転じる原因には多額の生命保険加入もその要因のひとつでした。

ご夫婦はお付き合いで生命保険にたくさん入っていて、その年間の支払い保険料は約90万円! 月払いの保険料で7万2000円も払っているのです。保険料の内訳をみると約4万円は子供の学資保険でしたのでこれは積み立てと考え、その残り3万2000円は実質ご夫婦の生命保険と医療保険の保険料でした。

内容をよくみると死亡保障や医療保障の保険に数件加入して保障がダブっているものもありました。

しかも、前編で詳しく見た通り、繰り上げ返済を頑張っていたために、一家の手元には100万円しか貯金がありません。これらの要因が合わさって、「5年後に家計が破綻する」というシミュレーション結果になってしまったのです。

良かれと思って取り組んだ「繰り上げ返済」が、破綻の危機を呼び寄せたというのは、このような意味でした。