アニサキスを見逃さない“職人芸” 魚屋のプロが明かしたコツ 現場だからこそ分かる意外な傾向

AI要約

高知のカツオ専門魚屋のSNS投稿が話題。アニサキスを見逃さない"アニサキスライト"の活用。

経験豊富な職人芸でアニサキスを迅速発見。目視でのコツは微かな違和感に敏感になること。

アニサキス対策として、新鮮な魚を選び、内臓を除去、冷凍や加熱などの対処法を実践。しかし、カツオにはほぼ問題ないとのメッセージも。

アニサキスを見逃さない“職人芸” 魚屋のプロが明かしたコツ 現場だからこそ分かる意外な傾向

「おりますねえ…」。魚をさばくと、見つかってしまう寄生虫のアニサキス。しかしながら、素人が目を凝らしても、筋や骨なのか、アニサキスなのか区別が付きにくいケースもある。特殊なライトで照らす“アニサキスライト”を使うのも手立ての1つだ。こうした中で、本場・高知で営むカツオ専門の魚屋のSNS投稿が話題を集めた。まさにアニサキスを見逃さない“職人芸”。目視で発見のコツを聞いた。

 一見、異常が見当たらない新鮮なカツオの断面。ライトを照らすと、青白く2つの物体が光り出す。一目瞭然だ。

「おりますねえ…

そしてアニサキスライト凄いですねぇ…」

 高知・須崎市の道の駅で営業している多田水産(の中の人)@tada2547さんの投稿は、11万回超の閲覧数の反響を呼んだ。

 アニサキスライトの性能に驚くコメントに加えて、「これをアニサキスライトなしで見つけて除去できるのはものすごい職人芸ですね」「全然見えない」「凄い!」と、アニサキスを正確に探索できる“眼力”にも注目が集まった。

 魚は当日水揚げされたカツオ。今回の投稿意図について、「『まれに筋肉内にアニサキスがいるから気を付けろ』と『アニサキスライトは発見にかなり有効かつ目視時間短縮になる』くらいでしょうか」と話す。

 日々、カツオを中心に魚を取り扱う専門家。いい機会なので、目視で見つけるためのアドバイスを聞いてみた。

「目視のコツはたくさんさばくことですね、微かな違和感に目が留まるようになります」。経験の積み重ねが重要とのことだ。

 それに加えて、「カツオの場合、複数種のアニサキスが寄生するのですが、ほぼ筋肉内には寄生しない主に胃腸に寄生するタイプと、筋肉内にも寄生しやすい主に肝臓に寄生するタイプがいます。10年くらい前まではアニサキスを全く気にすることがなかったのですが、最近後者が増えてきたように思います。すぐに捨てがちですが、内臓の目視チェックは非常に大事ですね」。現場だからこそ分かる傾向を教えてくれた。

 今回使用したのは市販のアニサキスライト。「業者用を導入しようとしたこともあったのですが、使い勝手や価格的に見合わせました。これは費用対効果としては非常に有能だと思うので、一般の方にも薦めたいですね」と話す。

 厚生労働省の公式サイトなどによると、アニサキスの予防策として、新鮮な魚を選ぶこと、速やかに内臓を取り除くこと、内臓を生で食べないことなどが挙げられる。調理する場合は、目視確認による幼虫の除去に加えて、「マイナス20度で24時間以上の冷凍」「70度以上、または60度なら1分の加熱」といった対処法が紹介されている。魚の生食自体に一定のリスクはあるが、過度に怖がってしまうことは避けたい。

 多田水産の担当者は「魚によって筋肉内に寄生しづらい・しやすいはありますが、カツオに関してはノーチェックの刺身を毎日三食365日食べてもほぼ問題ない程度にしかいないので、安心して食べてほしいですね。それに、魚屋経由なら基本的にチェックをしています。あと、『魚の死後に内臓から筋肉内に移動する』と言われています。ただ、それだけしか考えずに、“内臓を早めに除去すれば大丈夫”と刺身を食べてアニサキス中毒になる方が多いので、『基本的に内臓にいるが、まれにもともと筋肉内に寄生している』ということは知っていてほしいです」とメッセージを寄せた。