寄付額増加だけが「ふるさと納税」じゃない 横浜市、返礼品で町工場の実力をアピール

AI要約

横浜市のふるさと納税に製造業者の名品が加わり、中小企業応援もテーマとして取り組む姿勢が紹介されている。

寄付受け入れ額の増加と収支均衡の課題について述べられ、今年度の目標設定や取り組みの詳細が紹介されている。

特に注目される製品として、山田工業所の中華鍋やアルケリスのアシストスーツが紹介されており、地元中小企業の技術力が紹介されている。

寄付額増加だけが「ふるさと納税」じゃない 横浜市、返礼品で町工場の実力をアピール

横浜市のふるさと納税の返礼品に、地元の製造業者の名品が加わっている。体験型の返礼品が人気の観光都市、横浜市だが、多くの製造業者がいて、ものづくりも盛んだ。市財源確保推進課では「ふるさと納税には中小企業支援の側面もある。横浜の製造業の技術力の高さを発信していきたい」と意気込んでいる。

■中小企業応援もテーマ

横浜市は昨年度、ふるさと納税の受け入れ額増加を目指し、財源確保推進課を新設するなど態勢を強化した。その成果もあり、受け入れ額は4年度の約2・7倍に上る約12億円に達した。十分な手応えをつかみ、今年度は寄付受け入れ額の目標を16億円に設定し、策を練る。

ただ、4年度の税収流出額は222億円で全国一。今年度も291億円の流出を見込み、収支を均衡させるには程遠いのが現状だ。

そんな中、「寄付額の増加だけがふるさと納税の目的ではない。中小企業の応援も大切なテーマ」と同課の西海友希代・担当課長は力を込める。同課の発足後、ふるさと納税の手続きを行うポータルサイトの拡充などとともに、返礼品として横浜が誇る名品をより多く並べるべく、準備を進めてきた。

その結果、昨年11月には横浜中華街の大半の料理人が使用しているといわれる「山田工業所」(同市金沢区)の片手中華鍋(寄付金額6万7千円)がラインアップに入った。

何千回も鉄をたたく「打ち出し式」という独自の製法で知られる同社が返礼品用に準備したのは家庭向けの特別仕様。さびにくくするために表面を窒化処理し、希望があれば、取っ手部分に「大同製型」(同区)が5文字まで名入れする。山田工業所の山田豊明社長は「ふるさと納税で手にしてもらう人には代々使ってもらおうというのが頭にあった」と語る。

■技術力を伝える機会に

今年度に入っても地元の中小企業の製品は増えているが、異彩を放っているのが6月に加わった「アルケリス」(同区)のアシストスーツで、寄付金額は146万円。立った状態で装着することによって、椅子に座ったかのように体が支えられ、足腰への負担を軽減する器具だ。

ある医師から「長時間立って手術するのは疲れる。それを楽にできる機械を作ってくれないか」と相談があり、完成までに3年半を要したという。