DMMの企業版ふるさと納税「節税対策の疑い禁じ得ない」百条委結論

AI要約

福島県国見町で起きたふるさと納税をめぐる疑惑について、DMM.comが寄付した資金が町に還流していたことが指摘された。調査特別委員会は企業の節税対策に町が利用された可能性を指摘し、手続きの不適切さも報告している。

国見町は4億3200万円の寄付を元手に高性能救急車の研究開発事業を計画。DMMとグループ企業が寄付し、関連企業が製造を請け負う仕組みだった。

調査では、事業の主体を公募したがベルリング製の救急車の規格が出てくるなど、公平公正な入札ではなかったとの結論が示された。

DMMの企業版ふるさと納税「節税対策の疑い禁じ得ない」百条委結論

 企業版ふるさと納税を活用した福島県国見町の事業をめぐり、事業費を寄付したネット関連企業「DMM.com」に資金が「還流」していた疑惑について、町議会の調査特別委員会(百条委)が10日、報告書を公表した。「企業の節税対策に町が利用されたとの疑いを禁じ得ない」と指摘し、手続きも不適切だったとした。国は近く、町に報告を求める方向だ。

 同町は2022年、3社が匿名で寄付した4億3200万円を元手に、高性能な救急車の研究開発事業を計画した。報告書によると、寄付をしたのはDMMとグループ企業。事業は宮城県の食品会社「ワンテーブル」が受注し、DMMの子会社「ベルリング」が救急車の製造を請け負った。

 百条委は昨年秋に設置され、関係者の証人喚問などを通じて実態を調査。町が作成した救急車の規格がベルリング製と酷似していたことなどを突き止めた。町は事業の実施主体を公募したが、納車までの期間が極端に短かったこともふまえ、「(契約前にベルリングに救急車を発注していた)ワンテーブル以外の参入が事実上できない仕組みだった」と指摘。「入札に見せかけた実質的な随意契約だったと考えるのが相当で、公平公正な入札だったと判断することはできない」と結論づけた。