「王林ちゃんは意地がある」…木野花が「若いときにどう生きたか」が大事だと思う理由

AI要約

花田ミキさんは日本初の女性弁護士であり、青森のナイチンゲールと称される活躍をした。彼女は男性社会の中で権威に屈せず闘い続け、晩年には孤独な生活を送っていた。

木野花さんは映画『じょっぱり』で晩年の花田ミキさんを演じ、その孤独と強さを表現している。彼女自身も晩年を迎えつつある今、花田ミキさんを通じて自身の生き方について考える時を過ごしている。

花田ミキさんは晩年、人に迷惑をかけないことを重要視し、一人で過ごす時間を大切にしていた。彼女の最期の生き方が、木野花さんにも影響を与えている。

「王林ちゃんは意地がある」…木野花が「若いときにどう生きたか」が大事だと思う理由

木野花さん主演映画『じょっぱり』に描かれた花田ミキさんは、NHK連続テレビ小説『虎に翼』のモデルとなった日本初の女性弁護士、三淵嘉子さんと同じ1914年(大正3年)生まれ。戦場でも青森県内でも、我が身を顧みず「保健と看護」に尽力して数多くの功績を残し、「青森のナイチンゲール」と評された女性だ。戦後、県庁に役職付きで入庁した後も、男性社会の中でさまざまな思いを抱えながら権威に屈せず闘い続けた。

その晩年には、「“情熱と行動の人”と言われた花田さんと同じ人とは思えない」と木野さんが語るほどの孤独があった。しかしそれはただの孤独ではないと木野さんは言う――。

きの・はな プロフィール

青森県出身。弘前大学教育学部を卒業後、公立中学校の美術教師となるも1年で退職、上京し演劇の世界に入る。1974年、女性だけの劇団「青い鳥」を結成。以後80年代小劇場ブームの旗手的な存在となる。86年同劇団を退団。演出家として2023年『阿修羅のごとく』で読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞。女優として2019年『愛しのアイリーン』でキネマ旬報助演女優賞を受賞。2024年『バカ塗りの娘』で日本映画批評家大賞ゴールデン・グローリー賞を受賞。主演映画『じょっぱり』が7月2日(火)より東京都写真美術館、イオンシネマ新青森 イオンシネマ弘前 ほか全国順次ロードショー。公式サイトhttps://hanadamiki.com

映画『じょっぱり』で木野さんが演じるのは、晩年の花田ミキさんだ。現役の看護師・保健師時代には、命の尊さに対する揺るがない信念を持ち、たくさんの人に囲まれ、多くの人に手を差し伸べていたが、晩年、自らは人に頼ることなく一線を引き、孤独に暮らしていた。

「その姿は、“情熱と行動の人”と言われた花田さんと同じ人とは思えない変わりようでした。人とのかかわりを絶って一人静かに暮らし、やがて訪れる死の覚悟と準備をしていた人。孤独や不安もあったかもしれません。ただ、同じ孤独でも、あえて一人になろうと人嫌いになっていった花田さんがいて、そこには毅然とした強さが感じられます。私もまた、晩年という時期にさしかかり、自分と重ねあわせて花田ミキさんを生きるという得難い時を体験させていただきました」

「私もまた、もはやそういうおばあちゃん。結婚などもしたことはありましたが、今は一人で暮らしています。この先、花田さんのようになるとは思わないけど、『ああそうか、現役で一生懸命働いて、最期は一人でこんな風に死んでいくんだ』というのが少し納得できます。私は人払いまではしないけど、最近は一人で過ごす時間を大事にしたい気持ちが沸いてきています。

死を間近に感じたら、猫のようにふらりと森に行ってひっそり朽ちていくのもいいと思ったりして。でもね、傍目に人嫌いで孤独のように見えても、それは彼女にとってどうでもいいこと。晩年大事にしていたのは『人に迷惑をかけない』ことだったんじゃないかと思います。それを徹底した人でした」