絶対味わうべき余市ワインの生産者3選と、北海道の自然派ワインを楽しめる札幌の名店へ!

AI要約

山中敦生さんが手がけるドメーヌ・モンのワイナリーを訪れたカナイ。彼の北海道産ワインへの熱い思いと哲学に触れる。

有機栽培と自然酵母を用いた自然派ワイン造りを手がける山中さん。斜面の耕作放棄地を購入し、辛い作業を経て畑に変えていった過程を語る。

ドメーヌ・モンではピノ・グリだけを栽培し、北海道らしい味わいを追求。ピノ・グリの特性を最大限に生かすため、仕込みにも工夫を凝らしている。

絶対味わうべき余市ワインの生産者3選と、北海道の自然派ワインを楽しめる札幌の名店へ!

余市ワインのおいしさに感動し、現地を訪れた編集カナイ。個性豊かな3軒のワイナリーを訪れ、生産者の哲学を聞いた。札幌を訪れたらぜひ行ってほしい、北海道産ワインを堪能できるレストランもご紹介!

風が抜ける丘の上に、山中敦生さんが手がける「ドメーヌ・モン」の畑とワイナリーが見えてくる。元々はスノーボードのインストラクターとして茨城から北海道にやってきた山中さんだったが、地元出身のインスタラクターたちがシーズンオフには農家として畑で働く姿を見るうち、農業を志すように。働き始めた飲食店で北海道ワインのおいしさに目覚めソムリエの資格も取得、ワイン生産者になるという夢を叶えるべくドメーヌ・タカヒコの研修生となった。研修から2年、2016年に独立して自身の畑を取得。有機栽培、自然酵母によるワイン造りを手がけ、安定剤としての亜硫酸も添加しない自然派ワインを生み出している。

「耕作放棄地の斜面を購入したのですが、まさに"雑木林"が広がっていました。最初の仕事はチェーンソー持って丘を登り、朝から晩まで木を伐採すること。二度とやりたくない作業のひとつです(笑)」

東向きの斜面で朝から日が差し、日照量は抜群だ。海からの北風が夜の気温を下げてくれるが塩害は全くなく、ブドウ栽培にこれほどいい場所もない。この場所を選んだいちばんの理由は「この土地に立った時に、『ここ、いいな』と思ったんです」という直感だったそうだ。

ドメーヌ・モンで育てているブドウはピノ・グリ1種のみ。ピノ・ノワールが突然変異を起こして派生したとされる品種だ。

「曽我さんのドメーヌ・タカヒコではピノ・ノワールを単一で育てていますが、僕もひとりでやっているので、ひとつの品種に集中して育ててみようと。余市と気候の似ているアルザスでよく造られているピノ・グリに、繊細で複雑な、北海道らしい味わいを反映できたらと思っています」

ピノ・グリは白ワインとして扱われることも多いが、果皮が薄いため皮ごと発酵させ、いわゆる"オレンジワイン"的に仕上げることもある。収穫後に積雪があり、畑での作業を急がなければならないドメーヌ・モンもあえてこの方法を採用し、皮からのニュアンスをワインに加えている。