除雪作業、40代・50代熟練者ほど事故多発 「丁寧」「短時間」が原因 除雪実態調査

AI要約
但馬地域での除雪作業における事故の実態が調査で明らかになった。作業員の高齢化や若手不足、事故原因として視認不可や技術力不足が挙げられている。熟練者ほど事故を起こしやすい傾向も浮き彫りになっている。
除雪作業、40代・50代熟練者ほど事故多発 「丁寧」「短時間」が原因 除雪実態調査

但馬地域での除雪作業に伴う事故のうち、40代~50代の作業員が起こす割合が高いことが、兵庫県建設業協会豊岡支部(豊岡市)の3月の調査で分かった。積雪で「視認ができない」などが事故の主な原因で、熟練員ほど、丁寧かつ短時間に除雪しようとして事故につながっているという。調査からは、除雪環境の厳しい実態が浮き彫りになっている。

調査は「除雪等実態調査」。同支部が今年1月、但馬地域の加盟社(100社)を対象に、除雪従事者などの実態について初めて調べ、作業員の高齢化が進む一方、若手従事者が少ないことが判明している。3月にも除雪現場の状況について調査を実施し、加盟社93社のうち29社から回答があった。

同支部によると、除雪従事者は降雪の状況を見て、ほぼ午前3時に集合。同4時から出動し、同8時までの短時間の除雪作業によって、通勤、通学路を確保している。その際に起きる事故の多くは、道路のマンホール蓋やガードレール、除雪車側の損傷などという。

調査によると、除雪従事者490人のうち20代~40代が271人(55・3%)、50代~70代が219人(44・7%)。除雪従事者の年代と損傷件数の相関関係(令和3~5年)をみると、最も事故が多い年代が40代の40件(構成比52・6%)で、50代の21件(同27・6%)、60代の8件(同10・5%)、30代の7件(同9・2%)と続いた。

また、除雪従事者の経験年数と損傷件数の相関関係(同)では、10年以上が49件(構成比64・5%)、9年以下は10件(同13・2%)、5年以下は11件(同14・5%)、1年以下は6件(同7・9%)で、熟練者ほど損傷事故を起こしている。

理由としては「積雪時の視認不可」(41件、53・9%)、「段差や道路側の問題」(16件、21・1%)、「技術力不足」(11件、14・5%)、「確認不足」(8件、10・5%)。

同支部の担当者は「熟練者ほど、除雪を丁寧に時間内に懸命に対応しようとして、損傷事故を起こすようだ」と分析している。