吃音で諦めた夢を「注文に時間がかかるカフェ」批判乗り越え3年で全国約50か所で開催「私みたいに悔しい思いをしないで」

AI要約

奥村安莉沙さんが吃音を持つ若者と共に運営する「注文に時間がかかるカフェ」の始まりや、カフェをゼロから作り上げる過程について語られています。

子どもの頃になりたかったカフェ店員の夢を諦め、大人になってから再びその思いを取り戻した経緯が明かされています。

奥村さんがカフェをスタートさせるきっかけや、最初は軽い気持ちで始めたものの意外な広がりを見せることとなったエピソードが紹介されています。

吃音で諦めた夢を「注文に時間がかかるカフェ」批判乗り越え3年で全国約50か所で開催「私みたいに悔しい思いをしないで」

吃音のある若者がスタッフとして企画・運営する1日限定の「注文に時間がかかるカフェ」。日本全国で広がりを見せています。発起人の奥村安莉沙さんに、カフェを始めてわかった吃音を取り巻く現状や新しい広がりについて話を聞きました。(全2回中の2回)

■吃音が原因で諦めた「カフェ店員」の夢

── 2021年に「注文に時間がかかるカフェ」を始めたきっかけを教えてください。

奥村さん:子どもの頃からカフェの店員になりたかったのですが、10代~20代の頃は、言葉がなめらかに出ない発話障害のひとつである吃音の症状が重かったので、接客業に就くのは難しいだろうと諦めて大人になりました。でも、「どうしてもカフェの店員になりたい」という思いが年々強くなってきて、「既存のカフェでできないなら自分でつくろう!」とスタートさせたのが始まりです。

── 子どもの頃になりたかったカフェ店員の夢は大人になるまで封印していたのですか?

奥村さん:自分には無理だと最初から諦めてしまって、忘れるようにしていたんだと思います。20歳になった頃、10歳のときに自分宛に書いた手紙が出てきて。「20歳のわたしへ。あなたはカフェの店員さんになる夢をかなえていますか」という文章を目にして、当時すごくカフェ店員になりたかった気持ちを思い出し、心が揺さぶられました。

── カフェをゼロからスタートするのは大変だったのではないですか?

奥村さん:最初は「1年に1回くらいイベントができたらいいな」という軽い気持ちで始めたんです。場所は、私が以前住んでいた都内のシェアハウス。そこのオーナーさんに、吃音者がスタッフのカフェイベントを開きたいとお願いしてキッチンを借りました。スタッフはSNSを通じて、接客業に挑戦したい吃音を持つ学生を3人ほど募集して一緒に開催しました。

当時、私は会社員だったので「休日を利用してイベントができたら」と思っていたのですが、今は会社を辞めて吃音理解を深める仕事一本でやっています。正直、ここまでの広がりを見せるとは思っていませんでした。