「吃音は意識しなければ治る」とタブー視され…「注文に時間がかかるカフェ」発起人・奥村安莉沙が歩んできたいばらの道

AI要約

奥村安莉沙さんが吃音に悩みながらも、吃音を理解し合うための「注文に時間がかかるカフェ」を開催する活動が話題となっている。

奥村さんが吃音に対する誤解や苦労を振り返りながら、吃音についての理解を広めようと奮闘してきた過去が明かされている。

吃音についての誤解やタブーを乗り越えて、吃音に悩む人々を支援し、理解を深める取り組みが紹介されている。

「吃音は意識しなければ治る」とタブー視され…「注文に時間がかかるカフェ」発起人・奥村安莉沙が歩んできたいばらの道

スタッフ全員が吃音がある「注文に時間がかかるカフェ」。1日限定、全国各地で開催され、その活動はたびたびメディアに取り上げられ大きな反響を呼んでいます。発起人の奥村安莉沙さん自身も幼少期から吃音に悩み、周囲からの反応や就職活動に苦しんだ過去があります。カフェを開催するようになるまでのヒストリーを聞きました。(全2回中の1回)

■「吃音はうつる」と誤解されていた時代があった

── ご自身が吃音だということに気づいたのが小学2年生の頃だったそうですが、当時の吃音を取り巻く環境はどうだったのでしょうか。

奥村さん:当時は吃音について知っている人があまりいなかったので、変わった目で見られる機会が多かったです。なので、挑戦したいことがあっても、どういう目で見られるだろうと思って諦めることの連続でした。また、私の地元では「吃音はうつる」といった誤解をされることもありました。もちろん実際はうつらないのですが、話し方がうつると思われて友達づき合いには苦労しました。たぶん吃音のことをよく知らないから、得体のしれないものと捉えられて怖かったんだと思います。

──「吃音」とひと口に言っても症状は人それぞれなんですよね?

奥村さん:はい。吃音は言葉がなめらかに出ない発話障害のひとつですが、「こ、こ、こんにちは」のように音を繰り返す「連発」、言葉を発するまでに間が空く「難発」、音を引き伸ばす「伸発」などがあります。私は難発で、特に“あ行”が出にくいんです。吃音がある人は日本では約120万人、100人に1人いると言われています。

── 奥村さんのご両親は吃音にどういった対応をされてきたのですか?

奥村さん:わが家では吃音の話はいっさいタブーでした。私が小さい頃は「吃音は意識しなければ治る」と思われていた時代だったので、意識させないために口にしない、という感じでした。私が吃音のことを話しても「そういえば今日の給食はどうだったの?」といったふうに話を逸らされてしまって。腫れ物に触るような感じでした。なので、私の吃音のことを家族で話題にするようになったのは本当に最近になってからです。父親からは「こういう活動がもし安莉沙の小さい頃にあったらどれほどよかっただろうね。当時もっと力になってあげられなくてごめんね」と言われました。