気球から発射したロケット、2025年に宇宙へ–日本のスタートアップ「AstroX」が4億円を調達

AI要約

日本の宇宙スタートアップAstroXが空中発射方式のロケットを開発し、プレシリーズAラウンドで総額4億円の資金調達を実施した。

将来的には気球でロケットを成層圏まで運び、そこから空中発射する方式を目指しており、2025年にFOXという独自ロケットを打ち上げる計画を立てている。

政府の目標である年30件のロケット打ち上げ能力を支援し、大林組や千葉工業大学と共同研究契約を締結するなど、民間の参入を後押ししている。

気球から発射したロケット、2025年に宇宙へ–日本のスタートアップ「AstroX」が4億円を調達

空中発射方式によるロケットを開発する日本の宇宙スタートアップ「AstroX」は9月5日、プレシリーズAラウンドで総額4億円の資金調達を実施したと発表した。

 AstroXは、ロケットを気球で成層圏まで運び、そこから空中発射するロックーン方式での衛星軌道投入を目指している。地上から発射する方式に比べて、地表付近の濃い大気をスキップできるため、燃料を一定程度節約できるほか、射場も気球の放球ができれば良いため、地上に大規模インフラを構築する必要がなくなる。さらに洋上で発射すれば、地上への影響も抑えられる。

独自ロケット「FOX」は2025年に宇宙へ

 代表取締役最高経営責任者(CEO)を務める小田翔武氏によると、今回の調達によって、サブオービタルロケット「FOX」の開発を加速させるという。FOXは、高度100kmの宇宙空間に到達して帰って来る単段式ロケットで、宇宙空間への到達は2025年をめざすとしている。

 「ロケットの姿勢制御装置は地上での動作試験を終えている。今回の調達によって、同装置を成層圏まで運び、実際の姿勢制御を確認するのが大きなマイルストーンとなる。この動作を確認できれば、燃料を入れて発射すれば宇宙への到達が可能になるため、2025年にもう1度調達して、宇宙に到達することを想定している」(小田氏)

 AstroXは2022年に創業したばかりで、福島県南相馬市に拠点を置く。2023年には大林組、千葉工業大学と共同研究契約を締結した。同社は、前述の空中発射の利点を生かすことで、小型衛星の打ち上げコストを1回あたり5億円、年間50回実施し、年250億円規模のビジネス構築をめざす。

 政府は2030年代前半までに、基幹ロケットや民間ロケットの打ち上げ能力を年30件ほど確保するとの目標を掲げおり、そのために民間の参入を後押ししている。インターステラテクノロジズやスペースワンなども民間ロケットの開発に取り組んでいる。

 今回の資金調達ラウンドでは、ICJ2号ファンド投資事業有限責任組合をリード投資家として、下記投資家が参加した。

・インクルージョン•ジャパン株式会社・ニッセイ・キャピタル株式会社・株式会社ANOBAKA・三菱UFJキャピタル株式会社・株式会社ベクトル・株式会社鎌田企画・ユナイテッド株式会社・Iceblue Fund有限責任事業組合・90s株式会社・Spring Star Capital 株式会社・株式会社morich・G-STARTUPファンド・林 凡古・阪本 勝

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