PCからAndroidを操作できる無料アプリ「scrcpy」に新しい音声ミラーリング設定
Android端末をPCへミラーリングするツール「scrcpy」が8月2日、v2.6へアップデート。
オーディオミラーリングに新機能を追加し、さまざまな操作に対応。
セカンダリマウスバインディングなど便利な機能も取り入れられている。
Android端末をPCへミラーリングするツール「scrcpy」が8月2日(日本時間)、v2.6へとアップデートされた。本バージョンでは、オーディオミラーリングに新しいオプションが追加されている。
「scrcpy」は、USB/Wi-Fi接続されたAndroid端末の画面をPCで表示(ミラーリング)・操作できるようにするアプリ。名前(screen copy)の通り、リリース当初はAndroid端末の画面をミラーリングするためのツールだったが、機能の拡充で現在は内蔵カメラやマイクの転送にまで対応しており、録画や配信などにも用途が広がりつつある。
■ オーディオミラーリング
「scrcpy」はv2.0から音声転送に対応に対応しているが、「scrcpy」によるオーディオキャプチャーが開始されると、仕組み上デバイスからのオーディオが無効化されていた。
そこで本バージョンでは、オーディオ再生(playback)をキャプチャーする仕組みが導入された。加えて、オーディオの複製(Dup)もオプションでサポート。これらを組み合わせることで、PCとAndroidの両方で音声を再生できるようになった。
# デバイス上で再生しない
scrcpy --audio-source=playback
# デバイス上で再生し続ける
scrcpy --audio-source=playback --audio-dup
# オーディオ再生(playback)のキャプチャーはオーディオソースを
# 自動選択するため、起動オプションは以下のように省略可能
scrcpy --audio-dup
なお、このオプションを利用するには「Android 13」が必要。また、Androidアプリ側でオプトアウト(拒否)された場合、オーディオ再生はキャプチャーされない点には注意したい。
■ セカンダリマウスバインディング
「scrcpy 2.5」では「マウスバインディング」と呼ばれる起動オプションが導入され、PC側でのマウスボタン操作をAndroidデバイスの特定処理に割り当てられるようになった。
scrcpy --mouse-bind=bhsn# the default mode
# 順番にマウスの1番目(左)、2番目(右)、3番目(中)……の
# ボタンに割り当てる動作を指定
# b:前の画面に戻る
# h:ホームに戻る
# s:アプリ切り替え
# n:通知パネルを開く
scrcpy --mouse-bind=++++# forward all clicks (default for AOA/UHID)
# +:PCのマウスクリックをAndroidデバイスへそのまま送信
# -:PCのマウスクリックをAndroidデバイスへ送らない
scrcpy --mouse-bind=++bh# forward right and middle clicks,
# use 4th and 5th for BACK and HOME
しかし、この方法では「scrcpy」の起動時に選択したマウスボタン操作がすべてAndroidデバイスへ転送され、PC側でショートカットとして使えなくなるという弊害があった。
そこで、このリリースでは[Shift]キーと組み合わせたセカンダリバインディングが導入された。既定では単純にボタンを押した場合はPC側でショートカットがトリガーされ、[Shift]キーと同時押しした場合はボタンがAndroidデバイスへ転送される。
ただし、これはSDKマウスモードの場合でAOA/UHIDマウスモードでは逆となる。これらのモードはAndroidデバイスへマウスを直接つないだ状態を再現するため、カーソルがすべてAndroidデバイス側で処理されるのが前提となっている。そのため、いったんすべてのクリックをAndroidデバイスへ転送したほうが理にかなっているためだ。
「scrcpy」の対応OSはWindows/Mac/Linuxで、ライセンスは「Apache License 2.0」。現在、「GitHub」のプロジェクトページから無償でダウンロードできる。なお、現在の最新版は8月3日に公開されたv2.6.1。
ソフトウェア情報
「scrcpy」・【著作権者】
Genymobile
・【対応OS】
Windows/Mac/Linux(編集部にてWindows 11で動作確認)
・【ソフト種別】
フリーソフト
・【バージョン】
2.6.1(24/08/03)