NTT Comとトランスコスモス、AI活用時代のDigital BPO領域で戦略的事業提携

AI要約

NTT ComとトランスコスモスがAI活用時代のDigital BPOソリューション領域で戦略的事業提携を締結。NTT ComのAI技術とトランスコスモスの業務ノウハウを組み合わせ、強固なソリューションを提供。

事業提携の背景として、少子高齢化やIT技術の進化などの社会課題の解決を目指し、アウトソーシングによる事業の選択と集中を重要視。具体的な取り組み内容として、次世代コンタクトセンターの開発や自治体DXソリューションの提供を計画。

1000億円のビジネス規模を目指す両社は、GXソリューションや自治体DXソリューションを提供開始。今後、新規ソリューションの共同開発を進め、日本企業のイノベーションや地域社会の持続的な発展を支援。

NTT Comとトランスコスモス、AI活用時代のDigital BPO領域で戦略的事業提携

 NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)とトランスコスモス株式会社は17日、AI活用時代のDigital BPOソリューション領域において戦略的事業提携を締結したと発表した。同日には、両社が事業提携を行う狙いや具体的な取り組み内容について説明会が行われた。

 今回の事業提携では、NTT ComのAI技術をはじめとしたテクノロジーやインフラと、トランスコスモスの業務に精通したノウハウおよびDX活用人材を組み合わせることで、これまでにない、強固なDigital BPOソリューションを提供するという。また、「新規ソリューションの共同開発」と「顧客への導入・運用」に関して両社の連携を深めることで、顧客のDX推進を加速し、豊かな社会の実現に貢献していくとした。

 トランスコスモス 代表取締役共同社長の牟田正明氏は、事業提携を行う背景として、「少子高齢化・労働人口減少による人材確保」「加速度的なIT技術の進化とセキュリティ」「ESG経営をはじめとする複雑な社会要請」の3つの社会課題を挙げ、「これらの課題に対して、各企業がそれぞれで取り組むのは限界がある。そのため、アウトソーシングによる事業の選択と集中が重要なポイントになる。そこで今回、NTT Comが持つ生成AIやIOWN、5G、IoT、クラウドなど最新のインフラ・テクノロジーと、トランスコスモスが持つデータ利活用、グローバル展開、業務効率化の高度なノウハウ・DX活用人材を掛け合わせ、両社からワンストップで提供する。これにより、企業の経営課題へのスピーディーな対応と、DXなどイノベーションの加速を支援していく」と述べた。

 範囲としては、「新規ソリューションの共同開発」と「顧客への導入・運用」の2つの分野で、両社の連携を強化する。「新規ソリューションの共同開発」では、NTT版大規模言語モデル「tsuzumi」を活用した次世代コンタクトセンターの開発や、教師データの提供による高精度な生成AIソリューションの開発を進める。また、経理・人事のバックヤード業務など、業界横断の共通業務の課題解決に向けてインフラ・テクノロジーと専門人材をパッケージにした新たなソリューションの開発を行う。「顧客への導入・運用」では、両社で開発したGXソリューションおよび自治体DXソリューションを、お互いの顧客へ共同で提案・提供していく。

 NTT Com 代表取締役社長の小島克重氏は、次世代コンタクトセンターの共同開発における具体的な取り組み内容について、「世界トップレベルの日本語処理性能を持つNTT版大規模言語モデル『tsuzumi』を活用することで、高精度かつセキュアなAIコンタクトセンターを開発する。パラメータサイズ7Bの超軽量を生かし、専門的な内容や各社特有の内容を学習させることで回答精度の向上を図る。また、オンプレミス環境やNTTグループのプライベートクラウドでの運用によって強固なセキュリティを担保する。さらに、『tsuzumi』を本格活用したAI自動応対サービスを展開し、顧客のCX向上にも貢献していく」と説明した。

 「顧客への導入・運用」におけるGXソリューションの取り組みでは、初期検討から運用まで課題に応じた柔軟な設計と、GHG排出量の可視化から削減に向けたアクションの提案までをワンストップで提供する。データの収集から可視化までを自動化することで、稼働をかけずに「サービスの購入金額や物量」「排出係数」「GHG排出量」などのデータを生成可能となる。さらに、製造業・運輸業など業界ごとにパッケージ化したベストプラクティスも提案していく。

 また、自治体DXソリューションの取り組みとしては、自治体のDX推進に向け、NTT Comの地域事業者向け運用管理システム「Local Government Platform」とトランスコスモスのSNSを活用した住民コミュニケーションサービスおよびBPOサービス、改善コンサルをワンストップで提供する。デジタル田園都市構想の理念に対し、両社のアセットを組み合わせることで、全国に展開する支援体制で持続可能な地域社会の実現に貢献していくとのこと。

 今後の展開についてNTT Comの小島氏は、「両社は今回の事業連携により『新規ソリューションの共同開発』と『顧客への導入・運用』の2分野において、今後5年間で1000億円のビジネス規模を目指す。すでに、『顧客への導入・運用』分野のGXソリューションと自治体DXソリューションについては、本日から提供を開始している。また、『新規ソリューションの共同開発』では、次世代コンタクトセンターの開発を進めているほか、新たなDigital BPOソリューションの提供も予定している。両社のシナジーによって、日本企業のイノベーションやグローバル展開の活性化、地域社会の持続的な発展を支援することで、日本経済の好循環を生みだしていく」と意欲を語った。