米Oracle、クラウド向けデータアーキテクチャ「Exadata Exascale」の一般提供を開始 インフラコストを最大95%削減可能

AI要約

米Oracle Corporationは、クラウド向けの新しいデータアーキテクチャ「Exadata Exascale」の一般提供開始(GA)を米国時間7月11日に発表した。

Exadata Exascaleは、Oracle Databaseアプライアンス「Exadata」の機能をクラウド向けに再設計したものであり、クラウドのスケーラビリティを生かし、高パフォーマンスを持つクラウドサービスとして提供される。

Exadata Exascaleの特長としては、従量課金制や高速接続を活用した革新的なデータ処理能力が挙げられる。

米Oracle、クラウド向けデータアーキテクチャ「Exadata Exascale」の一般提供を開始 インフラコストを最大95%削減可能

 米Oracle Corporationは、クラウド向けの新しいデータアーキテクチャ「Exadata Exascale」の一般提供開始(GA)を米国時間7月11日に発表した。

 Exadata Exascaleは、Oracle Databaseアプライアンス「Exadata」の機能をクラウド向けに再設計したもの。クラウドのスケーラビリティを生かして、小規模なワークロードからOracle Exadataのメリットを享受できるようになる。一方でExadata Exascaleは、Exadataの特徴である高パフォーマンスを、クラウドのソフトウェアベースで発揮するよう設計されている。

 これにより、従来のExadataのクラウド版である「Exadata Cloud」と最小構成を比較すると、最大95%のコスト削減になるという。

 Exadata Exascaleは、現在「Exadata Database Service on Exascale Infrastructure」と「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」上の「Oracle Database 23ai」で利用できる。将来的には、「Oracle Exadata Cloud@Customer」や、「OCI Dedicated Region」、マルチクラウド環境でも利用可能となる予定。

 Exadata Exascaleの最小構成は、価格が357ドルで、データベースストレージが300GB、ファイルシステムストレージが560GB、ECPUが16個利用可能。日本でも最初の顧客との契約に基づき、1週間以内で提供開始となる。

 なおExadata Exascaleは、2023年9月に、Oracle Database 23ai(当時の名称はOracle Database 23c)とともに発表されていた。

 Exadata Exascaleの特徴について、Oracle CorporationのExadataスケールアウト・テクノロジー開発担当シニア・バイスプレジデントのKodi Umamageswaran(コディー・ウママゲスワラン)氏が日本のプレス向けに説明するオンライン会見が、日本時間の7月12日に開催された。

■ コンピュートとストレージを共有のリソースから割り当てて従量課金

 Exadata Exascaleの特徴として、ウママゲスワラン氏はまず、クラウドのメリットである、使用料に応じた課金や、マルチテナントなリソースプール、拡張性を挙げた。

 従来のExadata Cloudでは、テナントごとに専用のコンピュートサーバーとストレージサーバーを持っていた。それに対してExadata Exascaleでは、コンピュートとストレージを共有プールから各テナントが必要なだけ利用するようになっている。リソースは完全に従量課金制となる。

 これにより、例えばコンピュートを数コアから始められ、数千CPUまで拡張できると、ウママゲスワラン氏は語った。

■ 中間層なしでストレージにRDMAで高速接続

 ストレージのパフォーマンスの面では、通常のクラウドストレージは何層も重なったアーキテクチャになっており、レイテンシーやボトルネックが増えるとウママゲスワラン氏は主張。それに対してExadata Exascaleでは中間層をなくした独自の構成をとっていると説明した。

 コンピュートで動くOracle Database 23aiからストレージの間はイーサネット経由のRDMA(リモートDMA)によるRoCE(RDMA over Converged Ethernet)で高速接続している。これにより、マイクロ秒のレイテンシーと、数百万のIOPSを実現しているとウママゲスワラン氏は語った。

 そのほか、ストレージ上のホットなデータをメモリやフラッシュに賢くキャッシュする技術や、独自のRDMA対応クラウドブロックボリュームなどにより、高いパフォーマンスを実現しているとも説明している。

■ データベースのベクトル検索をオフロードしてパラレル実行

 Exadata Exascaleでは、Oracle Database 23aiで強化された、AIに向けたベクトル検索の機能も備わっている。ベクトル検索とは、データを意味的な類似性から検索するもので、コンテンツをn個の数字の並び(ベクトル)として表現し、n次元空間で近い距離にあるものを探すようになっているものだ。

 Exadata Exascaleでは、Oracle Database 23aiでサポートされたベクトル検索をストレージに透過的にオフロードして、検索を高速化できるようになっている。さらに、複数のストレージサーバーにパラレルに問い合わせを送りTop-Kの照合(上位K個を探す計算)を個別に実行させて、結果をマージすることにより、ベクトル検索を最大30倍高速化できるという。

 また逆に、複数のコンピュートからのベクトル検索をオフロードすることもできる。これにより、シングルユーザーから、Webなどで多数のユーザーからのクエリに対応するケース、システム全体で大規模なクエリを実行するケースまで、すべてのユースケースに対応するとウママゲスワラン氏は語った。

■ リダイレクト・オン・ライトでクローンの作成時間と容量を削減

 運用管理の面では、まずインテリジェントクローンの機能がある。これは本番データベースから、開発またはテスト用のクローンを即座に作成できるものだ。仕組みとしては、クローンで変更された以外のブロックは親と共有する「リダイレクト・オン・ライト」技術を利用しており、クローニングに必要なストレージ容量も大幅に削減される。

 データベース管理機能としては、従来のExadataと同様の機能をクラウドで利用できる。ストレージ管理は完全に自動化され、データベースに必要なストレージ容量のみを割り当てて従量課金で利用する。このとき、IOPSに応じた課金はないこともウママゲスワラン氏は強調した。