水難救助のプロが勧める〝イカ泳ぎ〟が大反響「理にかなう」 海で「浮いて待て」をアップデート

AI要約

水難事故に備えて新たな泳ぎ方「イカ泳ぎ」が注目されている。これは、おなかを上にして手足を上下に動かすことで、浮力を保ちながら救助を待つ方法である。

従来の「大の字背浮き」では波がある場所では難しいことが指摘され、パニックにつながる危険性があることが実証されている。

助けを求める際に大声を出すとリスクが高まるため、慌てずに浮いていることが重要であることを認識する必要がある。

水難救助のプロが勧める〝イカ泳ぎ〟が大反響「理にかなう」 海で「浮いて待て」をアップデート

海や川でのレジャーが増える季節、遊泳中の事故には気をつけたいもの。水難事故に遭った場合、これまで「浮いて待て」とされていましたが、波や風がある場所では顔に水がかかってパニックになる恐れが指摘されています。身を守る新たな手段として日本水難救済会がSNSに「イカ泳ぎ」動画を投稿すると、大きな反響が寄せられました。どんな泳ぎ方なのでしょうか?

「着衣(ポロシャツ、Gパン)でも、このとおり、体力を使わずに長い時間浮力を保つことができます!これからは、『イカ泳ぎ』で浮いて救助を待ちましょう」

2023年夏、海難救助や洋上救急に取り組む公益社団法人・日本水難救済会(水救会)が、そんなコメントともにX(旧Twitter)に投稿した11秒の動画。

水救会常務理事の江口圭三さんが、おなかを上にしてあごを引き、手足をゆっくりあおって「イカ泳ぎ」をする様子が映っています。

動画は800万回近く再生され、3万を超える「いいね」がつきました。「これすごい大事」「カナヅチですがこれだけできた」「体を動かす力が最小限で済むので理にかなう」といったコメントも寄せられています。

海や川で流されたとき、おぼれかけたときにまず大切なのは、慌てずに「浮く」ことです。

これまで大の字で背浮きをして、救助が来るまで「浮いて待て」とする方法が推奨されてきました。

しかし、「大の字背浮き」で待つことの難しさやリスクを指摘する声もあったといいます。

2023年6月、水救会と日本ライフセービング協会が実証実験をしたところ、泳ぎの得意な元海上保安官やライフセーバーでも波がある状態では水をかぶってしまい、鼻から水が入ってパニックになることが分かりました。

水救会のXでは、江口さんが波高5cmの海で「大の字背浮き」をした動画も紹介されました。波が静かな海でしたが、海上保安大学校で水泳担当訓練教官を担っていた元海上保安官の江口さんでさえ、浮き続けることができなかったといいます。

さらに、助けを求めようと大声を出すと水を飲みこんでしまったり、肺から空気が出て沈んでしまったりするリスクもあるそうです。

動画は1100万回以上再生され、多くの人が海で浮くことの難しさを痛感しました。