ガザ市全住民に退避命令 イスラエルが攻撃強化、UNRWA本部に戦車侵入の情報も

AI要約

イスラエル軍がガザ市の全住民に中部への退避命令を出した。国連は懸念を表明。

イスラエル軍は国連の拠点に戦車を進入させ、ハマスとの休戦協議が進行中。

イスラエル軍がハマスに対する攻勢を強化し、ガザ市で数千人の死者が出ている。

【カイロ=佐藤貴生】イスラム原理主義組織ハマスと戦うイスラエル軍は10日、パレスチナ自治区ガザ北部の主要都市であるガザ市の全住民に、中部に退避するよう命じた。英BBC放送(電子版)によるとガザ市全域を対象とする退避命令は昨年10月の戦闘開始以来2回目で、国連は深い懸念を表明した。

ガザ市には推定25万人が居住しており、パレスチナ赤新月社は爆撃が激しくて避難できないと話す住民がいると述べた。ロイター通信によると、イスラエル軍は攻撃拠点として使われた疑いがあるとして、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の本部に戦車を進入させたとの情報がある。

イスラエルとハマスの休戦をめぐる協議は10日にカタールで再開され、米国やイスラエルの情報機関トップが参加した。協議は11日も続く見通し。イスラエル軍の攻撃で9日にはガザ全域で60人以上が死亡したとされ、ハマスはネタニヤフ首相が協議の進展を妨害しようとしていると批判した。

イスラエル軍はここ2週間、ハマスや共闘するガザの過激派「イスラム聖戦」が再び態勢を強化しているとして、以前攻撃した地域で攻勢を強めている。ガザ保健当局は10日、戦闘開始以来の死者数が3万8295人になったと発表した。