書類にまつわる悲哀を川柳に 「私のイチオー業務川柳」でグランプリを獲得したものは? 6月15日「PDFの日」にちなみ

AI要約

PDFの日を前に、アドビはメディア向けに「Adobe AcrobatとPDFの未来」イベントを開催し、業務の非効率化を改善する取り組みや課題、現状、今後の展望を発表。

紙の文書のやり取りや業務に関する調査結果を紹介し、デジタル化への移行が進まない理由や課題について解説。

アドビの提案として、Acrobatを活用してセキュアなPDFでの送付や捺印の代替、デジタル化による業務効率化を促進する取り組みについて紹介。

書類にまつわる悲哀を川柳に 「私のイチオー業務川柳」でグランプリを獲得したものは? 6月15日「PDFの日」にちなみ

 6月15日は「PDFの日」だ。文書フォーマットとしてのPDF(Portable Document Format)を正式発表した1993年6月15日から、30周年を迎えた2023年に記念日として登録された。

 PDFの日を前に、アドビはメディア向けに「Adobe AcrobatとPDFの未来」イベントをゲートシティ大崎イーストタワー(東京都品川区)で開催し、業務の非効率化を招いている書類を巡るさまざまな課題と現状、また今後のロードマップなどを発表した。

 また、PDFの日に先駆けて、5月15日から募集していた「私のイチオー業務川柳」の最優秀作品賞の発表がお笑いコンビ「ミキ」の2人を招いて行われた。

 同社では「ビジネスにおける帳票郵送業務に関する調査」を2024年4月に実施した。電子帳簿保存法の改正と、2024年10月に30年ぶりとなる郵便料金の値上げがその背景にある。調査人数は500人で、調査はインターネット上で行われた。

 それによると、約8割の82%がいわゆるPPAP(ZIPファイルとそれを解凍するパスワードを分けてメールで送信すること)を、受け取ったり送信したりしたことがあると回答している。

 アドビ デジタルメディア執行役員ビジネスマーケティング本部長 竹嶋拓也氏は「PPAPはセキュリティ対策になっていない上に3つの“ダメ”をはらんでいる」と言う。

 「誤送信により、ZIPファイルもパスワードも送ってしまう可能性があること、パスワードの誤送は防げても総当たりでZIPファイルのパスワードを解析されてしまう可能性があること、モバイル環境でZIPファイルを解凍するのが大変なこと」と竹嶋氏は解説した。

 いまだに紙でやり取りされている書類の上位は、見積書と請求書(51.9%)、領収書(46.7%)、契約書などの重要書類(45.5%)と続く。

 紙でやり取りすれば、郵送などの業務が必要になる。書類を郵送している249人を対象に「PDFなどのデジタルファイルも送っているか」の質問に対し、約7割にあたる69.5%が「デジタルでも送っている」と回答している。

 竹嶋氏は「同じ内容のことを2回行うダブルワーク。業務効率化の足を引っ張っている。しかも郵便料金が上がれば、コストアップも避けられない」と危惧する。

 では、なぜ完全デジタル化に移行できないのか。その理由の上位は(複数回答で)「手書き/紙の書類に慣れているから」(32%)、「デジタル処理に不慣れだから」(26%)、「業務が増えてしまう」(26%)というものだった。

 これらは、その企業にデジタル化へ移行する環境が整備されていても、対応したくないという人を救済するものとはならない。竹嶋氏は「デジタル化するツールを、もっと使いやすいものにしなければならないと思いを新たにした」と語った。

 デジタル化の遅れは、採用面にも影響があるという。「デジタル化への対応が遅い会社をどう思うか」という問いに対して「働きたくない」と回答したのは全体の58.2%、20代では64%にも上った。少子高齢化により労働人口が減少している中、デジタル化をしないことは企業の存続を左右する解決しなければならない重要な課題というわけだ。

 業務の中で非効率あるいは無駄だと感じるもののトップは「書類への押印、捺印」(52.2%)で、続けて「メール送信時の定型文」(43.0%)、「紙資料の印刷・配布」(38.6%)となった。

 そこでアドビが提案するのが「Acrobatがあれば、いいんじゃない?」というもの。

 紙で郵送、デジタルで送信という二重送付はセキュアなPDFでの送付で対応し、会議資料は人数分印刷しないでPDF化して配布または共有、捺印などはAcrobat Signで対応できる。

 いわゆる、仕事をしているつもりでも実はムダ、という業務をなくしていこうというわけだ。