両備システムズ、AI画像解析による物流最適化ソリューションを開発

AI要約

両備システムズはAIによる画像解析を活用して、荷待ちトラックの時間短縮や物流業界の人手不足の解消に貢献するAIソリューションを提供開始。

提供するAIソリューションは、トラックの時間管理システムとAIカウントツールを組み合わせ、荷物の数量確認時間を短縮することで効率化を図る。

さらに、既存システムや他社システムとの連携も可能で、荷役作業や物流効率化に焦点を当てている。

提供されるソリューションは、駐車場管理、荷物の出荷数確認など、幅広い業務に適用可能。カメラ画像のAI分析やスマートフォン活用による効率化が特徴。

特に、鉄鋼業界向けに開発された数量確認ツールは、クレーム対応の効率化も図る。

AI技術を活用した荷物管理ソリューションは、物流業界における効率化と人手不足の解消に貢献する可能性がある。

両備システムズ、AI画像解析による物流最適化ソリューションを開発

 両備システムズは6月10日、AIによる画像解析などを活用して荷待ちトラックの時間短縮や物流業界の人手不足の解消に貢献するAIソリューションの提供を開始すると発表した。

 このAIソリューションは、同社が開発したトラックの受付から退場までの時間を管理するバース入退場管理システム「R-Teams(アールチームス)」をベースに、荷物の数量確認の時間を短縮できるAIカウントツール「CountShot(カウントショット)」を組み合わせている。これにより、1運行当たりの荷待ち時間や荷役作業にかかる時間を平均で約30%削減、最大では60%削減できるという。

 この日記者会見した営業本部 民需営業統括部 DX推進営業部長の谷口芳正氏は、「荷待ちや荷役などの時間を可視化して効率化に貢献できるソリューション。製造や物流などの物流効率化に取り組む事業者に提供することで、物流の2024年問題における課題解決につながる」と説明した。同社は、製造や物流などの物流の効率化に取り組む事業者を対象に販売する考えだ。

 今回のソリューションのベースとなる「R-Teams」は、同社が以前から販売しているもので、4つの施設への導入実績を持つ。荷物の積み下ろしを行うバースで、トラックの入退場を管理できる。各作業工程の業務時間を可視化して、業務全体の効率化を図り、ドライバーや庫内作業者の労働時間の短縮を可能にするという。

 既存システムや他社システムとの連携により、入場するトラックのチェックイン自動化や半自動化、マニュアルモードなどを選択でき、受付業務を省力化できるほか、トラックバースへの接車や離車をIPカメラの画像やセンサーのデータからAIで解析し、自動検知することで、オペレーションロスを抑制することが可能だ。監視カメラ画像のAI分析には、同社が開発した駐車場管理システム「IT-Parking(アイティーパーキング)」の技術を活用している。

 IT-Parkingは、駐車場管理の人手不足を補うソリューションとして、大型商業施設や道の駅など、駐車場の満空管理で実績を持つ。既存のカメラや場内の誘導設備と連携できるほか、柔軟なレイアウトの変更、クラウドによる複数駐車場の一元管理といった特徴を持つ。屋内外いずれの形態の駐車場に対応し、場内監視や記録、防犯用途でも活用できる。これまで新丸ビル駐車場や東京都八重洲駐車場、東京都日本橋駐車場など14施設に導入さているという。

 今回のソリューションは、これらの既存ソリューションに、同社が6月に新発売するCountShotを組み合わせて実現した。CountShotは、目視による出荷時の製品数のカウント作業をAIが代替でき、カウント時間の短縮とともに人手による業務を軽減する。

 具体的には、出荷タグを読み取ることで入力作業を軽減するとともに、画像によるエビデンスを確保することで、管理部門や営業部門での確認業務を短縮し、顧客からの問い合わせにもスムーズに対応できるようになる。また、AIで解析する画像内の範囲の指定では、あらかじめ複数のトリミングパターンが用意されており、現場の作業者が手袋をしたままでも操作しやすい画面構成にしている。

 さらに、クラウドサービスとスマートフォンを活用したシンプルな設備構成のため、導入事業側は、初期投資費用の抑制と場所の制約を受けずに利用できるメリットを得ながら、ラックに積載した荷物の出荷前確認を効率化できるとしている。

 同社 移動体ソリューショングループ エキスパートの木本一機氏は、「(今回は)R-Teamsを利用する鉄鋼業界の顧客から要望で開発した。鉄筋の発注は、100本や300本といったバルク調達だけでなく、必要な本数に合せてピッキングする取り引きが常態化しており、その度に確認作業に労力が取られる一方、本数が不足しているといったクレームが入った際も、人手の作業のため数量確認のエビデンスがなく、クレーム対応の際の課題になっていた」と背景を説明した。CountShotは、スマートフォンを使ってAIによる画像解析が可能であり、導入コストの抑制と利便性を両立。また、このデータを出荷証明書として利用できるため、クレーム対応の時間削減にもつながるという。