【ひふみんEYE】後手なのに主導権奪った藤井叡王の指し回し光る 伊藤七段は意味のない手で敗着

AI要約

将棋の第9期叡王戦5番勝負第4局で藤井聡太叡王が伊藤匠七段を下しました。

藤井叡王の指し回しや攻め手が光り、伊藤七段が悪手を重ねて敗着しました。

最終局が面白くなってきており、藤井叡王と伊藤七段の戦いに注目が集まっています。

【ひふみんEYE】後手なのに主導権奪った藤井叡王の指し回し光る 伊藤七段は意味のない手で敗着

<ひふみんEYE>

 藤井聡太叡王(名人・竜王・王位・王座・棋王・王将・棋聖=21)がかど番をしのいだ。5月31日、千葉県柏市「柏の葉カンファレンスセンター」で行われた将棋の第9期叡王戦5番勝負第4局で、同学年の伊藤匠七段(21)を下した。

 本紙「ひふみんアイ」でおなじみ、加藤一二三・九段(84)が対局を振り返ります。

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 藤井叡王の指し回しが光りました。最も光ったのは、58手目の後手4二銀。3三にいた銀を引かせて伊藤七段に先手2四歩と突かせた手です。これが誘い水で、62手目の後手6五歩から反撃開始。機敏ですね。後手なのに主導権を奪いました。

 こうなると攻めがさえ渡ります。伊藤七段は持ち駒の角を使って先手8七角(75手目)と打たざるを得なくなりました。藤井叡王が後手6四角(78手目)と打った後、この角が攻めに大活躍したことを思えば、角の働きが大違いでした。

 しかも、伊藤七段は意味のない手で敗着としてしまいました。87手目の先手4七金。ここは先に先手9四歩(89手目)と攻めるべきでした。この組み合わせが手順前後の立ち遅れ。負ける時は、やはり悪手に悪手を重ねるものなのでしょう。

 以下は藤井叡王の攻め手が強烈で、後手7五馬(104手目)で勝率70%、後手8五桂(108手目)で80%、後手8三香(124手目)が決定打でした。

 私の経験からすれば、大山先生(大山康晴氏)や升田先生(升田幸三氏)と戦う際には1手リードを許すと挽回できませんでした。藤井叡王も同じです。

 意気上がる藤井叡王か、立て直しが急務の伊藤七段か。最終局が面白くなってきました。(加藤一二三・九段)