藤井聡太八冠が名人初防衛 挑戦者・豊島将之九段を4勝1敗で破り“八冠”堅守 タイトル戦獲得数を22期に伸ばす

AI要約

将棋の藤井聡太名人が豊島将之九段に勝利し、名人位を初防衛。藤井名人の強さが八冠タイトルを堅守した。

豊島将之九段は渾身の作戦で挑戦し、シリーズ全体を通して競り合ったが藤井名人の終盤力に屈した。

第5局では藤井名人が豊島九段の意表をついた振り飛車に対し冷静に対応し、終盤で勝利を手にした。

藤井聡太八冠が名人初防衛 挑戦者・豊島将之九段を4勝1敗で破り“八冠”堅守 タイトル戦獲得数を22期に伸ばす

 将棋の藤井聡太名人(竜王、王位、叡王、王座、棋王、王将、棋聖、21)に豊島将之九段(34)が挑戦する第82期名人戦七番勝負第5局が5月26・27の両日、北海道紋別市の「ホテルオホーツクパレス」で行われ、藤井名人が勝利を飾った。この結果、シリーズ成績を4勝1敗とした藤井名人がタイトル初防衛を達成。八冠の一角のビッグタイトルを堅守した。

 全冠保持者の藤井名人が、八冠の一角・名人位を初防衛した。5期ぶりの名人復位を目指していた豊島九段を挑戦者に迎えたシリーズは、全局を通して豊島九段が渾身の作戦を用意。第4局の後手横歩取りの一局では豊島九段に黒星を喫したものの、本局を含めシリーズを通して持ち前の終盤力で挑戦者を圧倒する結果に。盤石の強さを見せつけた藤井名人が、4勝1敗の成績でタイトル初防衛を達成した。タイトル獲得数は歴代単独6位の22期に。初タイトル獲得から敗退することなく奪取と防衛を重ね、その獲得数を伸ばしている。

 決着局となった第5局は、後手の豊島九段が意表の振り飛車を採用。繊細な駆け引きの後、四間飛車に構えて見る者を驚かせた。受けて立つ藤井名人も、豊島九段の作戦に警戒。4枚の金銀を用いて居飛車穴熊に固く囲って戦いに備えた。中盤戦では、穴熊の堅陣を活かした藤井名人が決戦を挑むと、豊島九段も呼応するように攻め合いに。藤井名人はもう止まらないとばかりに後手陣を目掛けて総攻撃を仕掛けていった。

 長く形勢不明の戦況が続いたものの、藤井名人が終盤で抜け出すことに成功。自信を持った手つきで鮮やかな銀捨ての一手を披露し強く豊島九段に迫っていった。“熱戦の証”とも言われる駒柱が2度出現するなど、受けに回り粘りの道を模索した豊島九段だったが、藤井名人が冷静に押し切って勝利を手にした。

 ビッグタイトルの初防衛を達成した藤井名人だが、休む間はない。31日には同学年の伊藤匠七段(21)を挑戦者に迎えた叡王戦五番勝負第4局が予定されている。この防衛シリーズは1勝2敗と崖っぷちに立たされており、八冠の一角をかけて臨む大勝負に臨むことになる。さらに、6月6日には新たな挑戦者・山崎隆之八段(43)を迎えたヒューリック杯棋聖戦五番勝負も開幕するなど、タイトル防衛ロードは続く。息つく間もなく次なる戦いの場へ。藤井名人がどのように攻略していくのか、今後の物語からも目が離せない。

 ◆藤井 聡太(ふじい・そうた) 2002年7月19日、愛知県瀬戸市出身。中学2年生時の2016年10月に史上最年少で四段昇段、史上5人目の中学生棋士となる。2020年度の第91期棋聖戦でタイトル初挑戦。渡辺明棋聖(当時)を破り、17歳11カ月で最年少タイトルホルダーとなった。以降獲得と防衛を重ねて、竜王3期、名人2期、王位4期、叡王3期、王座1期、棋王2期、王将3期、棋聖4期の通算22期。棋戦優勝は10回。2023年度の第81期名人戦七番勝負を制し、20歳10カ月の最年少名人に就位。同10月には第71期王座戦五番勝負を制し、前人未踏の「八冠独占」を達成した。通算成績は369勝74敗、勝率は0.833。趣味は鉄道、チェス。

(ABEMA/将棋チャンネルより)