新捕鯨母船「関鯨丸」初出港、保育園児「大きな鯨を捕まえてきてね」…山口県下関市で初出漁式

AI要約

山口県下関市を母港とする共同船舶の捕鯨母船「関鯨丸」が初出港し、市主催の初出漁式が開かれた。

式典では、関鯨丸の歴史的役割や鯨肉の流通拠点としての重要性に期待が寄せられた。

船員らへの励ましや共同船舶の意気込み、関鯨丸の出港に際する別れの様子が描かれた。

 山口県下関市を母港とする共同船舶(東京)の捕鯨母船「関鯨丸」が初出港した21日、同市の岬之町ふ頭で市主催の初出漁式が開かれた。出席者からは、世界で唯一の捕鯨母船としての歴史的役割や、鯨肉の流通拠点でもある「鯨の街・下関」の浸透・発展、鯨食文化の継承などに期待する声が聞かれた。(平木和頼)

 式典では、前田晋太郎市長が「我らが関鯨丸の初出漁を心から喜びたい。(電気推進システムを採用するなど)最新の機能を備えているだけに(不慣れで)不安な面もあるだろうが、臨機応変に対応しながら目標の頭数を確保し、下関に戻ってきてほしい」とあいさつした。

 続いて、村岡知事のメッセージ代読として平屋隆之副知事が「日本の商業捕鯨の新たな歴史を刻む関鯨丸には、高品質な鯨肉を安定的に下関に陸揚げしてもらうことを期待している。県としても下関市と連携しながら、鯨肉の消費拡大や鯨食文化の継承などに取り組んでいく」と述べた。

 花束贈呈では、野島茂船長と古賀喜政機関長、捕鯨船も含む船団の阿部敦男船団長に、前田市長が花束を手渡した。共同船舶の所英樹社長は「これから30年間、関鯨丸が鯨肉の供給責任を果たしていくためにも利益を出せるよう、全社一丸となって頑張りたい」と決意を述べた。

 船員らを励まそうと、市立名池保育園の園児16人がダンスや歌を披露。声を合わせて「大きな鯨を捕まえてきてね」とメッセージも読み上げた。

 この後、野島船長を始め船員ら約80人が乗船すると、船とふ頭の間にわたされた紙テープを家族や関係者らと握り合ったり、手を振り合ったりして、12月に帰港するまでの別れを惜しんだ。ブラスバンド演奏が響く中、関鯨丸は汽笛を鳴らして離岸し、次の寄港地・東京に向かった。