シップ・オブ・ザ・イヤー2023大賞に世界最大級コンテナ船。NSY設計、呉・丸亀建造

AI要約

日本船舶海洋工学会は、2023年のシップ・オブ・ザ・イヤーに6隻の2万4000TEU型コンテナ船シリーズの1、2番船を選定した。

これらの船は、今治造船とジャパンマリンユナイテッドが協力して建造し、短期間で世界最大級のコンテナ船を完成させた。

その他にも液化CO2・LPG兼用輸送船や旅客船、小型貨物船、漁船・調査船など、さまざまな部門で優れた船舶が賞を受賞している。

シップ・オブ・ザ・イヤー2023大賞に世界最大級コンテナ船。NSY設計、呉・丸亀建造

 日本船舶海洋工学会は20日、「シップ・オブ・ザ・イヤー2023」(SOY2023)に2万4000TEU型コンテナ船6隻シリーズの1、2番船「ONE INNOVATION」と「ONE INFINITY」を選定したと発表した。今治造船とジャパンマリンユナイテッド(JMU)がタッグを組み、両社の技術力を結集し、国内3カ所の工場で世界最大級のコンテナ船を約半年という短期間に6隻建造したことが高く評価された。

 2社の合弁会社である日本シップヤード(NSY)が設計を担当し、1番船はJMU呉事業所(広島県呉市)、2番船は今治造船丸亀事業本部(香川県丸亀市)で建造した。

 同船型は新しい造船技術を多く取り込み、中でも風による抵抗増加を減らすと同時に、コンテナ積み個数を増加させた新船首風防の新規性が高い評価を受けた。

 「SOY2023」技術特別賞には、三菱造船が新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、山友汽船から受注し建造した液化CO2(二酸化炭素)・LPG(液化石油ガス)兼用輸送船「えくすくぅる」が輝いた。同船は川崎汽船などが参画する液化CO2輸送の実証試験船で、その技術確立が期待されている。

 部門賞では、三菱造船が建造した旅客船兼自動車渡船「あいしま」(197総トン)が小型客船部門賞に選定された。同船は山口県萩市と同市内の離島・相島を結ぶ萩―相島航路に就航した小型フェリーで、このサイズのフェリーでは初となる垂直船首方式の新船型を採用し推進性能の向上を図っている。

 小型貨物船部門賞には山中造船が建造した「國喜68」(499総トン)が選ばれた。内航ミライ研究会を中心として、運航、離着桟、荷役、停泊時の全モードでの省エネ化を統合的に行った。

 漁船・調査船部門賞は大島商船高専(山口県周防大島町)の練習船「大島丸」(373総トン)。三菱造船が建造した同船は、練習船としての伝統を残しつつ、動線を主軸に置き照明にも工夫を凝らした設計により、災害支援時にも活躍できる船となっている。