河川にキラキラ反射テープ 大分・日田の漁協が恐れるアユの天敵とは?

AI要約

日田市内の河川でカワウの食害から稚アユを守るためにテグスと反射テープが使用されている

反射テープの効果や問題点について、市や漁協が取り組んでいることが明らかになっている

アユの生息調査や放流活動など、日田市内で行われている取り組みについても報告されている

河川にキラキラ反射テープ 大分・日田の漁協が恐れるアユの天敵とは?

 大分県日田市内を流れる川のあちこちで、テグス(釣り糸)に結びつけられた反射テープがキラキラと光っている。この4月、20年ぶりに日田支局勤務となり、最も変わった印象を持ったのが河川の風景だ。前回勤務時(2001~04年)には見かけなかったこのテープの正体は-。

 まず訪ねたのは、河川を管理する国土交通省の筑後川河川事務所日田出張所。テープについて尋ねると「漁協さんが張っている。そちらに聞いてください」。

 すぐさま日田漁協(日田市高瀬)に向かうと、入り口近くのポスターに答えはあった。「放流した稚鮎(アユ)をカワウの食害から守るためテグスを張っています」との注意書きだ。手島勝馬組合長によると、カワウの食害が深刻になってきたのは約10年前。春から秋にかけて1日に数百羽が飛来し、アユを食いあさるという。

 そこで、カワウが水面に近づかないよう大山川、玖珠川、花月川の要所15~20メートルごとに反射テープを取り付けるようになった。毎年、稚アユを放流する3月初旬に設置し、アユ漁解禁(5月20日)に合わせ順次撤去しているという。

 手島組合長によると、カワウ1羽が捕食する魚は1日に約500グラム(5、6匹分)で「多い時は500羽が一斉に来るから、たまったものじゃない」。市林業振興課有害獣対策係によると、22年の漁業被害は約500万円に上った。

 反射テープには一定の効果がある半面、テグスにコサギやアオサギなどが掛かり、通報を受けた漁協組合員が外しに行く煩雑さもあるという。市によると、市内にカワウの繁殖地は確認されておらず、中津市の山国川一帯や、三隈川下流の福岡県うきは市などから飛来しているとみられる。

 市も猟友会に駆除依頼をしているが、「広域で駆除に取り組まなければならず、なかなか難しい」と担当者。反射テープは当分なくなることはなさそうだ。

 アユ漁解禁を20日に控え、日田市内の河川で16日から生息状況を調査。17日までの2日間、三隈川水系の13カ所で、アユが川底の石に付いたこけを食べた形跡「食(は)み跡」を調べた。

 

 市や日田漁協などでつくる市内水面利活用推進協議会が実施。同漁協によると、アユはこけを食べるとき、下顎で削り取るように食べるため、石に残された跡の数で生息数が、跡の太さで成長具合が分かるという。

 同市高瀬の大宮沈橋近くの大山川では、潜水服を着た調査員約10人が川に潜って食み跡を確認。数も多く、残された跡から20センチ超に育ったアユもいるとみられるという。日田漁協の手島勝馬組合長は「河川の状況も良く、このまま災害もなく順調に育ってくれれば」と話していた。

 日田漁協は毎年3~4月、稚アユ約100万匹を放流。昨年は約37・5トンの漁獲があった。

(床波昌雄)