まさに秘境、落差6メートルの滝を越えた先に広がる「イワナの楽園」 黄金の魚が入れ食い状態、腕利きの釣り人も興奮

AI要約

職漁師が活動していた魚野川の源流域にあるイワナの楽園が紹介される。

劇的な景観を持つ源流行の進行ルートや釣り体験が詳細に描かれる。

沢登りの技術や経験が必要な源流へのアクセス方法や許可手続きが説明される。

まさに秘境、落差6メートルの滝を越えた先に広がる「イワナの楽園」 黄金の魚が入れ食い状態、腕利きの釣り人も興奮

 山ノ内町志賀高原の東側に、景観に恵まれ生物も豊富な魚野川が流れている。山奥の源流域は急流や滝に阻まれ、一部の登山者や釣り人しか訪れるのが困難で、かつてはイワナを釣って生計を立てる「職漁師」が活動していたという。滝や淵を越えて秘境ともいえる源流にたどり着くと「イワナの楽園」が広がっていた。

 魚野川は、岩菅山(2295メートル)などが連なる志賀高原の山並みを源流とする複数の沢に端を発する。流れは山ノ内町から栄村に入り、中津川となって信濃川に注ぐ。目指すには、まずは群馬県の野反湖などから山道を4時間ほど歩き、渋沢ダムに向かわなければならない。

 7日午前8時半、ダムから魚野川に入った。広い浅瀬を40分ほど進むと両岸を岩壁に囲まれた「ゴルジュ」帯が始まった。勢いよく流れる水に巻き込まれないよう緊張感が高まる。岩壁に手と足の置き場を見つけ、慎重に登っていった。

 ゴルジュを越えた先に野営に適した河原が。そこにタープを張り、魚影が濃いとされる滝上を目指した。午後1時前、落差約6メートルの滝「大ゼン」が現れる。広葉樹の緑に囲まれた岩場から流れる白い水しぶきとエメラルドグリーンのたまりに目を奪われた。

 ロープを頼りに滝上に登ると、虫に見立てた毛針をさおの先の糸につけた「テンカラ釣り」を始めた。何げない一振り。すぐに手応えがあった。強い引きをいなして、引き上げると黄金色に染まったイワナが手元で跳ねる。人間が放流できない山奥の源流で、力強く生きる原種の鮮やかな体色がまぶしかった。

 「入れ食いだ」。腕利きの同行者が興奮気味に話した。時間帯によって毛針を投げ入れるたびにさおがしなった。淵をのぞき込むと5匹以上が悠然と泳ぐ。かつて志賀高原の職漁師が岩菅山の山並みを登り下りして、源流を目指した理由に納得がいった。

 魚野川の源流行には、野営やロープワークなど沢登りの技術や経験が必要となる。登山計画書の提出、志賀高原漁業協同組合が発行している遊漁券の購入が必須だ。