<高齢ドライバーと家族の本音> 「一時停止の線を完全にオーバーしている」自動車学校の高齢者講習にカメラ潜入 “敬老の日”に考えたい 事故防ぐためにできること 北海道

AI要約

北海道で相次ぐ高齢ドライバーの事故が問題となっており、免許返納に関する家族の葛藤やドライバー自身の心情が明らかにされている。

高齢者の事故率が増加しており、安全運転の重要性が改めて強調されている。自動車学校での講習も取り上げられている。

免許返納後の生活や移動手段に不安を感じる高齢者もおり、家族の協力が大切であることが示唆されている。

<高齢ドライバーと家族の本音> 「一時停止の線を完全にオーバーしている」自動車学校の高齢者講習にカメラ潜入 “敬老の日”に考えたい 事故防ぐためにできること 北海道

北海道で相次ぐ高齢ドライバーの事故。ハンドルを握る高齢者と免許返納をめぐる家族の本音を取材した。

「信号に気がつくのがちょっと遅れているとよく言われる。娘に言われる。もう68歳なんだから70歳になったらもう(免許を)返しなさいよと」(68歳の男性)

北海道では2024年8月末までに、高齢ドライバーが運転する状況で起きた死亡事故はすでに26件。

さらに北海道で起きたすべての死亡事故でみると、運転手が高齢者だった割合は4割以上と、ここ10年で最も高くなった。

札幌市白石区では6月、乗用車が雑居ビルに突っ込み中にいた女性がケガをする事故が発生。運転していたのは80代の男性だった。

「バックしてそのままドンっていっちゃった。車検が来たら(運転を)やめようかと思っていた」(運転していた80代の男性)

事故の後、男性は運転免許を自主返納したという。

「40キロまで上げてください。一時停止の線完全にオーバーしている」(教官)

札幌市内の自動車学校で開かれた高齢者講習の様子だ。

次の誕生日で満70歳以上となるドライバーが免許更新の時に受けなければならない講習だが、苦戦する高齢者も。

「はい、一時停止違反」(教官)

「一応、止まっているんだけどな」(参加した男性)

「いやいや、全然とまっていない」(教官)

「あ、そうですか」(参加した男性)

「かすかに動いている」(教官)

「厳しいな」(参加した男性)

「ちゃんと停止線を守らないと。言っていることわかる?」(教官)

「なに?」(参加した男性)

「停止線を守ってください」(教官)

「はい」(参加した男性)

「停止線。行き過ぎているでしょ」(教官)

「あー、行き過ぎている」(参加した男性)

講習で大きな事故につながりかねないミスを指摘された参加者たち。改めて安全運転に向けてのポイントを学び直した。

「体力にも結構自信がある。私は(運転して)書店に行ったり買い物したり。ボケ防止。心がけて事故を起こさないよう運転しなければならないと思う」(参加した76歳の男性)

「大体が町内の買い物かな。お母ちゃんを乗っけていく。遠い道は無理しない。(Q:車がないと不便?)不便だね」(参加した91歳の男性)

広い北海道では、車は生活に欠かせない移動手段となっているケースが少なくない。

実際、免許を返納した後の生活に不安を感じて躊躇する声も聞かれた。

「札幌市では車がなくてもどうにかなるかなという気はするが、地方に行ったら、地元の帯広に行った時はやはり車がないと難しい」(62歳の男性)

これは北海道の高齢者の免許返納の推移だ。

東京・池袋で暴走事故が起きた2019年の約2万件をピークに年々、減少し続けている。高齢の親を持つ人からはこんな声も。

「(親に対して)言いにくい。車好きだし、行けるところが少なくなってしまい、買い物など大変になっている」

「男の人に(免許返納について)聞いたらキレそうなので聞かない」

本人にはなかなか切り出しにくい免許返納だが、自動車学校では事故を防ぐために家族の協力が重要だと話す。

「(高齢者の車に)家族も一回横に乗って、どういう程度か認識してもらうのも大事だと思う。危ないのであれば家族間で強い言葉で免許返納を勧めてもらうしかない」(手稲自動車学校 菊地博さん)

一方、病気をきっかけに5年前に免許を返納した男性は、返納後の高齢者を置き去りにしないような仕組み作りが必要だと訴えた。

「逆走の問題だとか結構多い。ほとんどが高齢者だからみんな返納した方がいいんじゃない。お年寄りへのいろいろな策を考えた方がいいのではないか」(免許返納した77歳の男性)

悲惨な事故を防ぐため早急な対策が求められている。