「岸田外交」集大成の訪米へ バイデン氏とは個別会談 「強固な同盟」を世界に発信

AI要約

岸田文雄首相は21~23日の日程で訪米し、日米豪印4カ国の協力枠組み「クアッド」首脳会合や国連総会に出席する。自身の後継を選ぶ自民党総裁選を控え、在任中最後の外遊となる。

「岸田外交」の成果に強い自負をにじませる。バイデン米大統領との間で築いた「かつてないほど強固」と言われる日米関係が基盤となっている。

クアッドを通じて安全保障体制の強化に注力し、中国や北朝鮮に対処している。岸田外交の幕が下りるが、彼が国際舞台で存在感を保ち続ける見通し。

「岸田外交」集大成の訪米へ バイデン氏とは個別会談 「強固な同盟」を世界に発信

岸田文雄首相は21~23日の日程で訪米し、日米豪印4カ国の協力枠組み「クアッド」首脳会合や国連総会に出席する。自身の後継を選ぶ自民党総裁選を控え、在任中最後の外遊となる。首相は覇権主義的な動きを強める中国やウクライナ侵略を続けるロシアをにらみ、日米同盟やクアッドなど同志国連携の強化に心血を注いできた。今回の訪米は「岸田外交」の集大成となる。

「これまで取り組んできた外交は世界でも評価が高い」

首相は周辺にそう語り、「岸田外交」の成果に強い自負をにじませる。

その基盤となったのが、バイデン米大統領との間で築いた「かつてないほど強固」と言われる日米関係だ。首相は2022年のロシアによるウクライナ侵略を受けて対露政策を転換し、欧米と歩調を合わせた強力な制裁に踏み切った。このことでバイデン氏は首相への信頼を深め、今年4月には首相を国賓待遇で米国に招いて厚遇。首相も議会演説で米国を鼓舞するなど、強固な同盟を世界に発信した。

首相同様、バイデン氏も退任が決まっている。両首脳は今回、バイデン氏の地元の東部デラウェア州ウィルミントンで個別に会談するが、後継政権への申し送りを含め、これまでの取り組みや成果を確認する場となりそうだ。

首相はインド太平洋地域で「米国頼み」だった安全保障体制を強化するため、米国の同盟国や友好国との重層的なネットワークの構築にも注力してきた。代表的なものがクアッドだ。

今回の首脳会合では中国が海洋進出を進める東・南シナ海の情勢や、核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮について意見を交わす。また、違法操業する中国の漁船団の監視に向けた取り組みも発表する見込みだ。

今回の訪米で3年に及んだ岸田外交は幕を下ろす。ただ与党内では、各国首脳に知己の多い首相が、今後も国際舞台で存在感を保ち続けるとの見方が大勢だ。

自民総裁選で有力候補と目される高市早苗経済安全保障担当相や小泉進次郎元環境相、石破茂元幹事長はいずれも外交経験が乏しく、手腕は未知数だ。首相周辺は「誰が首相になっても外交では首相(岸田氏)に頼らざるを得ない」と話す。(永原慎吾)