「安倍路線」継承姿勢に濃淡、石破・小泉氏は一線 自民総裁選9候補「聖地アキバ」で訴え

AI要約

9人の自民党総裁選立候補者が秋葉原で街頭演説を行い、安倍晋三元首相の路線継承姿勢の濃淡が見られた。

候補者には安倍政権下での経験者や前総裁の支援を受けた者などが含まれており、各々が異なる政策や姿勢を打ち出している。

石破茂元幹事長は安倍氏の外交政策に異議を唱えつつ、他の候補者はアベノミクスや憲法改正などを重視して訴えている。

自民党総裁選(27日投開票)に立候補した9候補は19日、東京・秋葉原で個別に交代でマイクを握った。秋葉原は自民を国政選挙6連勝に導いた安倍晋三元首相が、6年前の平成30年9月19日にも総裁選の街頭演説を行った「聖地」だ。9候補の大半は安倍政権下で閣僚や党幹部として起用されたが、安倍路線の継承姿勢には濃淡が出た。

「秋葉原に来ると、右手を高く挙げ、全身全霊で訴えていた安倍氏を思い出す」。トップバッターとしてこう切り出したのは、官房副長官などとして安倍政権を支えた加藤勝信元官房長官だ。最側近の一人として安倍氏が解決を目指した北朝鮮による日本人拉致問題について、「すべての被害者の即時帰国に向けて、日朝首脳会談を早期に実現する」と強調した。

前回総裁選で安倍氏から支援を受けた高市早苗経済安全保障担当相は、「あくまでも経済成長を追い求める」と訴えた。安倍氏が自身と同様に保守政策を重視しつつ、経済政策「アベノミクス」を掲げて幅広い支持を集めたことが念頭にあるとみられる。

安倍路線を意識するのは小林鷹之前経済安保担当相も同じだ。「保守のホープ」との声もある小林氏は安倍氏が目指した憲法改正について、「自衛隊明記と緊急事態条項(新設)を必ずやり遂げる」と語気を強めた。

安倍路線と一線を画すのは生前のライバルだった石破茂元幹事長だ。安倍氏が中国の封じ込めに腐心したのに対し、石破氏は日米同盟が前提としつつ、「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」の創設を主張。街頭演説でも「アジアで仲間の国がやられたら義務として助ける仕組みが必要だ」と説明した。ただ、アジア各国は中国との向き合い方が異なるため、「中国の思うつぼになるのでは」(自民重鎮)と懸念も招いている。

小泉進次郎元環境相は安倍氏が慎重だった選択的夫婦別姓の導入を主張し、保守層が警戒している。街頭演説では「一人一人の選択肢を増やしたいと思うのは『愛国心』があるからだ」と持論を展開した。(永原慎吾)