「普通の知事」ならとっくに辞めている…斎藤元彦知事が「味方ゼロ」でも兵庫県トップに居座れる本当の理由

AI要約

斎藤元彦知事への不信任決議案が可決される見通しで、失職は避けられない状況。斎藤知事の言動や疑惑について、議論が続いている。

維新の会の姿勢変化により、斎藤知事の支持が急速に失われている。メディアや世論が辞職を求める状況が広がり、その行方が注目されている。

斎藤知事の辞職により、兵庫県政の問題が一時的に閉じられる可能性が高まる。しかし、その決定が本当に適切なのか疑問が残る。

兵庫県職員へのパワハラやおねだり疑惑に揺れる斎藤元彦知事を巡って、19日開会の県議会で不信任決議案が可決される見通しだ。ジャーナリストの小林一哉さんは「斎藤知事が県議会の解散を選ぶと、百条委員会も解散してしまう。そうなると告発文書に記されていた『もっと重大な疑惑』の追及が終わってしまう」という――。

■斎藤知事の失職は避けられない状況

 兵庫県の斎藤元彦知事(46)は、県議会議員86人全員に辞職を求められる状況となりながら、続投の意思を強固に変えていない。

 自民党、維新の会、公明党などすべての会派は、9月19日開会の県議会9月定例会の初日に不信任決議案を提出して、その日のうちに採決まで行い、不信任決議を成立させる方針を示している。

 こうなると、どんなにあがいても、斎藤知事の失職は避けられない。

 辞職が、いつになるのかというだけである。

 斎藤知事が出席した2度の百条委員会を傍聴していて感じたことは、県政最高責任者としては非常に若い斎藤知事に思いやりの欠ける言動や行為があったとしても、それらをパワハラと断定するには大きな疑問が残るということだ。

 また、企業、自治体からのおねだり疑惑を列挙していたが、金額等を踏まえてもほぼすべて常識範囲内で、どこにでもある知事へのおみやげ程度のものでしかなかった。

 それで知事に強く辞職を迫るほどの疑惑とは言い難かった。

 ことし5月10日に任期を1年余残して突然辞職した静岡県の川勝平太前知事も、そのほぼ1年前の6月県議会で、度重なる舌禍を招いたとして不信任決議案が突きつけられた。

 それでも、知事与党・ふじのくに県民クラブの議員全員が反対票を投じたため、かろうじて1票差で否決された。

 それからほぼ1年間、知事職を続けたのである。

■維新が斎藤知事を守ることをやめた理由

 ところが、兵庫県の場合、斎藤知事を擁立、支援した日本維新の会が対応を変えたことで、9月県議会を前にして「知事降ろし」の勝敗が決した。

 もともと維新の会は「真実はどこにあるのか、見極めるべきだ」としていた。

 斎藤知事の出席した2度の百条委員会が行われたあと、知事のパワハラ疑惑を認定するような発言までして、「県政の混乱を招いた責任を取れ」に変わってしまった。

 斎藤知事への辞職を迫る報道が繰り返され、ほぼすべてのメディアが「辞職しろ」を連呼した。その大合唱は「世論」となり、誰も異を唱えることができなくなった。

 自民党総裁選後に予想される衆院解散、総選挙を見据える維新の会は「世論」を敵に回すことはできなかったようだ。

 知事与党だった兵庫県議会の第2会派・維新の会が9日に知事辞職を求めたことで、今回の騒動の帰趨(きすう)がはっきりとした。

 その後、雪崩を打つように、すべての県議会議員が斎藤知事に辞職を迫る異常事態となったのだ。

 維新の会が斎藤知事を支えていれば、不信任決議案が否決され、川勝知事のように持ちこたえられた可能性もあった。

 斎藤知事が辞職してしまえば、そのまま「兵庫県政の闇」の部分に蓋をしめてしまう恐れが高い。

 本当に、それでいいのだろうか?