被災神社修復へクラファン 返礼品にご神木使ったソーダ 目標額の10倍達成・能登地震

AI要約

能登半島地震で被害を受けた石川県能登町の酒垂神社が、倒れたご神木から抽出したエキスを使用したソーダなどを返礼品としてクラウドファンディングを実施し、目標額の約10倍の寄付が集まった。

神社は地震で損傷し、200年の樹齢を持つご神木が倒れたが、その木を活用して地域おこし団体と協力しソーダ製作を試みる。

CFにより鳥居の修復費を集め、地域の祭りも無事開催されるなど、神社の活動や地域コミュニティに対する支援が行われた。

 能登半島地震で鳥居などに被害が出た石川県能登町の酒垂神社が、倒れたご神木から抽出したエキスを使ったソーダなどを返礼品とするクラウドファンディング(CF)を実施したところ、全国から目標額の約10倍の寄付が集まった。

 担当者は「全国に縁ができた。能登のことを知り、いつか来てほしい」と感謝している。

 酒垂神社は港町の宇出津地区にあり、毎年初夏の「あばれ祭」でみこしを出している。祭りでは各町内会が巨大な灯籠「キリコ」を担いで回り、酒垂神社はその中心的な存在の一つだ。

 しかし地震で神社は傾き、壁がはがれ落ちた。海の近くなどにあった鳥居も倒壊。樹齢約200年のご神木の杉も倒れるなどし、7本が伐採された。宮司の長女加藤藍子さん(34)=神奈川県葉山町=は「自慢だった古里の景色が一変した。当たり前にあったものがなくなり、寂しかった」と振り返る。

 加藤さんは「役目を終えたご神木に感謝し、みんなで分け合いたい」と考え、活用方法を模索した。そんな中、石川県内を拠点とする地域おこし団体から提案を受け、ご神木から抽出した天然香料を使ったソーダなどを作ることに。5月に実際に香料を前にすると、発酵したような濃い木の香りが漂い、「雨の多い海の近くに200年立っていた重みを感じた」と話す。

 鳥居の修復費に充てるため、ご神木を材料にしたお守りやソーダを返礼品にしたCFを4月から始めると、6月下旬の終了までに目標額(100万円)の10倍に当たる約995万円が集まった。寄付するため神社まで訪れた住民もいたという。

 宇出津地区は地震と津波の被害を受けたが、伝統の祭りは今年も7月上旬に無事開かれ、盛り上がった。加藤さんは「町の大事な祭りを守るために、自分にできることをしたい」と語った。