「調査待たずにできないか」 告発者早期処分、斎藤知事の指示か 「批判風向き変わる」証言も

AI要約

兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題で、告発者を停職3カ月とした県の懲戒処分の詳しい経緯が、県議会調査特別委員会での県職員の証言などで明らかになってきている。

告発者が県の窓口に公益通報したことから、少なくとも4人の職員が早期処分に否定的な意見を表明。しかし、斎藤氏や側近の県幹部らは受け入れずに処分に踏み切った。

背景には斎藤氏の意向が色濃く浮かび、今後の百条委では斎藤氏や側近らの説明が焦点となる。

「調査待たずにできないか」 告発者早期処分、斎藤知事の指示か 「批判風向き変わる」証言も

兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題で、告発者を停職3カ月とした県の懲戒処分の詳しい経緯が、県議会調査特別委員会(百条委員会)での県職員の証言などで明らかになってきている。告発者が県の窓口に公益通報したことから、少なくとも4人の職員が早期処分に否定的な意見を表明。しかし、斎藤氏や側近の県幹部らは受け入れずに処分に踏み切った。背景には斎藤氏の意向が色濃く浮かび、今後の百条委では斎藤氏や側近らの説明が焦点となる。

「百条委なら調査権があるのでそこで説明する方が、しっかりとわれわれも説明できる」

27日の定例会見で斎藤氏は早期処分の指示に関しての明言を避け、百条委が出頭要請する方針の側近3人については「それぞれの立場で調査に対して答えていただくといい」とした。

これまでの百条委での証言や関係者への取材などで明らかになった処分に至る経緯はこうだ。

県西播磨県民局長だった男性(60)=7月に死亡=が文書を作成し、一部の報道機関などに配布したのは3月中旬。斎藤氏は同月20日に文書の存在を把握し、翌21日に片山安孝副知事(当時)らに調査を指示した。

同22日には、人事課が男性を含む複数の職員のメールの調査を始めた。文書の作成者として男性が浮上し、25日に片山氏らが男性を聴取。男性が使用していた公用パソコンも調べ、告発文書のデータを確認した。

同27日、県は男性を解任し、4日後に控えていた退職も保留すると発表。斎藤氏は会見で文書を「噓八百」と評し、「公務員失格」と男性を非難した。

こうした対応に不信感を抱いた男性は4月4日、県の公益通報窓口に告発文書と同様の内容を通報した。これを受け、人事当局の幹部が小橋浩一理事(当時)や井ノ本知明総務部長(同)に「公益通報の調査結果が出るまで処分は待った方がいい」と進言。斎藤氏にも伝わり、一度は了承された。

ところが同月中旬、斎藤氏は井ノ本氏を通じ「調査結果を待たずに処分できないか」と人事当局に打診。当局が弁護士に相談したところ、「法的には可能」との見解を得たため、小橋氏や井ノ本氏は処分を優先するよう指示したという。

処分案を審議する県の綱紀委員会が開かれたのは、大型連休の谷間にあたる5月2日。この場でも委員である別の県幹部3人が、「公益通報の調査結果を待って処分すべきではないか」などと懸念を示した。