「前橋テルサ」解体へ 民間の活用、改修断念 25年度後半から

AI要約

前橋市の小川晶市長は、2023年に閉鎖した前橋テルサを解体する方針を示した。市の赤字採算が続き、民間の活用が困難だったためだ。

前橋テルサは多い年で約4億円の赤字が出ており、民間の引受先を見つけられず再開が困難となっていた。解体後は新たな利用を計画している。

同市の県民会館も廃止の可能性があり、文化施設が不足している中、市は必要な施設の規模や場所を検討している。

「前橋テルサ」解体へ 民間の活用、改修断念 25年度後半から

 前橋市の小川晶市長は23日の記者会見で、赤字採算が続き、2023年に閉鎖した市の複合施設、前橋テルサについて、「何とか活用できないか投資家にも声をかけたが、民間の活用は望めない。次世代に負担は先送りできない」と述べ、25年度後半から1年以上かけて解体する方針を示した。市は1月にホールの再開を目指す方針を示したが、エレベーターや天井の改修に20億円近くかかるなどとして一転断念した。

 テルサは特殊法人雇用促進事業団が雇用保険事業を活用し、全国に作った施設の一つ。前橋では1992年、地上12階、地下1階建てでホールや宿泊施設、フィットネスクラブがある大規模施設として設置。市によると多い年で約4億円、コロナ禍の近年は年約2億5000万円と当初から赤字が続いた。市関係者は「かんぽの宿同様、国が各地に作った負の遺産」と指摘する。

 22年度以降、民間の引受先を公募したが、辞退したり基準を満たさなかったりし、再開に向けて協力する予定の前橋商工会議所からも6月に断念の意向を伝えられたという。解体後は同じ同市千代田町の中央イベント広場が再開発で使用不能のため、27年度からイベント開催の代替地に使い、同年度末までに今後の活用策をまとめた上で29年度以降新たな利用を始める方針。

 同市の県民会館も廃止の可能性があり、音楽関係者からは「テルサ解体は唐突。市内のホールが不足する」との懸念も出ている。小川市長は「文化施設が少なくなっている。必要な施設の規模や場所を民間との連携も踏まえて検討したい」と述べた。【田所柳子】